希少楽器サリュソフォーンの運指
以前「レア楽器Sarrusophoneを吹いてみた!」という記事を書きましたが、とても希少な楽器をせっかく経験したのだから色々書いてみようと思います。
今回は運指について書いていきます。IDRSの運指表などを元にしています。
※エッペルスハイム社製の、サクソフォーンに準じた仕様はこれに該当しません。
2024/10/20 記事の構造整理しました。
はじめに
まず、こんな楽器です。※現存するのはコントラバスサリュソフォーン(バリサクのオクターヴ下)がほとんど。
今回はサリュソフォーンの運指について紹介します。
この楽器の運指は一言でまとめると、
サクソフォーン(サックス)を元にさらにシンプルにした感じ
という感じです。
サックスはちょっとかじった程度しか吹いたことないですが、知っている範囲内でサックスと比べて書いていきます。
キー配置
まずキー配置は以下のようになっています。
・左手:3指(人差し指、中指、薬指)は同じですが、小指で押すテーブルキー部分はG#、C#、B(低いシ)の3つが縦に並び、サイドキーはなくなっています。
・右手:3指と小指キーは同様、FからF#に上がるキーはなく、サイドキーはサックスの下2つ相当と、その右には開放C#からDに上がるキーがあります。
・左手の親指:オクターヴキーが2つ(後述)と、最低音Bbのキーの合計3つのキーがあります。
・右手の親指:D・D#の時のオクターヴキー(後述)があります。
つまりテーブルキーの配置が変わり、左手サイドキーがなくなり、オクターヴキーが3つある、というのが主な相違点です。
では早速運指を見ていきましょう。
サリュソフォーンの運指
運指は主にIDRS(国際ダブルリード協会)のサイトを参考にしました。
細かい替え指が沢山掲載されていて整然としていないので、その中から自分なりに基本的な法則を読み解いて抜粋して考えました。
第1オクターヴ
前述の通り基本運指は概ね「サクソフォンと同じ」と言えます。左手小指のテーブルキー部分の配置が変わっている事と、最低音Bbが左手親指に来ている事だけ注意する必要があります。
・Bb(最低音)
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B
x x x | x x x C
Bb
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第2オクターヴ
第2オクターヴは第1オクターヴの運指に「オクターヴキー」を足しますが、サクソフォンのように自動切換えになっていないため、吹く音によって3つのオクターヴキーを使い分けないといけません!
◆D~D#の場合
右手親指にあるキー(D Octave Key)を押します。
Dの例:
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x x x | x x x
D-Oct
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◆E~Gの場合
左手親指の中央のキー(Low Octave Key)を押します。
Eの例:
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x x x | x x o
Low-Oct
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◆G#~C#の場合
左手親指の上側のキー(High Octave Key)を押します。
Bbの例:
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x x o | o o o
High-Oct SideBb
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サリュソフォンを吹く上で最も苦労するのがこのオクターヴキーの使い分けに慣れることだと思います。
オーボエやファゴットにも似たような切り替えがありますが(ハーフホールがあったりオクターヴ下と全然違った運指だったりもっと大変ですが^^; )、特にサクソフォン奏者が吹く場合は苦労すると思います。
トリルなどでまたがる場合はどちらかのキーを押したままにする感じになりそうです(多少音程・音色は損ねますが)。
さらに上の音域はサクソフォンのように高音用のキーはなく、第3倍音を当てる吹き方のようですが、全然音が出せませんでした。
その他考察
基本的に替え指やトリルの運指のための機構はなく、シンプルな構造になっています。
例)
- FからF#に上がるキーがない
- G#の時に右手のキーを押してG#のキーを閉じる機構がない
- Aのキーが2つに分かれていないので、左手だけでBbが吹けない
- Bの指の時に右手のキーを押してBbに下がる機構がない
等。
他には3指のキー間隔が狭かったり、右手小指のキーアクションが深かったり、実際に楽器に触れて慣れるしかない部分もあります。
ちなみにアドルフ・サックスがサクソフォーンを発明した当初の楽器も、複数のオクターヴキーの事やら、こんな風にシンプル機構だったとどこかで見たような気がします。ある意味昔のオリジナルのサクソフォーンに近い雰囲気を味わえる楽器とも言えるんですかね?
おわりに
ということで今回は運指について紹介してきました。
もし幸運にもサリュソフォンを吹く機会がありましたらぜひ参考にしてみて下さいm(_ _)m
※エッペルスハイム社製の、サクソフォーンに準じた仕様はこれに該当しません。
【関連】サリュソフォンのページ