【アイデア】サリュソフォーンを扱いやすくする2つの理想案
希少楽器であるサリュソフォーンを扱いやすくするための案について考えてみました。
はじめに
サリュソフォーンという楽器があります。金属管を持つダブルリード楽器で、元はサクソフォーン同様の高音から低音の一属がありましたが、現在はコントラバス・サリュソフォーンだけが主に生き残っていますが、非常に稀な楽器です。
主に指定されている曲:
- ラヴェル/スペイン狂詩曲
- シュミット/ディオニソスの祭り
ほとんどの場合コントラファゴットで代用しますが、稀にこだわってサリュソフォーンを使う場合があります。その場合もなかなかハードルが高いと感じているので、サリュソフォーンを扱いやすくする理想案を考えてみました。
理想案
何種類かのサリュソフォーンに触れた経験があります。それを元に、サリュソフォーンを演奏する際の課題や改善案(あくまで理想)を書いてみます。
コントラファゴットのリードで吹けたら
サリュソフォーンは専用のリードを使います。コントラファゴットのものよりさらに長くて大きいリードです。少なくともグロタンやバンドレンにラインナップがあるようですが、これを在庫として常備しているお店は国内にはほとんどないはずで、取り寄せにはかなり日数がかかるでしょう。
コントラファゴットのリードと比べるとサリュソフォーンのリードの方が長さがあり、ボーカルを差し込む部分の径も大きくなっています。そのためコントラファットのリードをそのまま使う事はできません。
・リードサイズの比較
そこで考えたのは、
コントラファゴットのリードに対するアダプター
です。ボーカルの先端を少し延長して、リード側に向かって狭まって行く形状のアダプターが設計できるのではないでしょうか。
これが存在すれば、より一般的なコントラファゴットのリードでサリュソフォーンを演奏することが可能になります。ブレードの大きさはそこまで極端には違わないので、発音には問題ないのではと思います。
コントラファゴットの運指で吹けたら
サリュソフォーンを吹く時に一番のネックとなるは「運指に慣れること」です。
基本的にはサクソフォーンに準じた機構になっていますが、主にファゴット奏者が吹くことになると思うので、円滑な演奏にはそれに慣れるトレーニングが必要です。
ORSI,CONNなど(主にEb管の)古い楽器だと、サクソフォーンの初期型のような機構になっています。キーの配置に慣れることも必要ですが特にオクターヴキーが3つあり、1つは右手親指に存在しており、その切り替えに慣れることが一番の課題です。
Eppelsheimの新しい楽器(C管)ではよりメカニックで現代のサクソフォーンそのもののような機構になっています。合理的な機構なので基礎運指はファゴットより覚えやすいにしても、替え指なども含めてサクソフォーンとして習得する練習が必要です。
そこで考えたのは、
コントラファゴットの運指で吹けるサリュソフォーン
があったらいいなということです。前述のリードアダプターと併せて、コントラファゴットを基準にしたらより扱いやすくなります。
C管のサリュソフォーンであれば最低音が同じBbで理論上は同じ管長で、その管体にヘッケル式のコントラファゴットのキー機構を載せるイメージです。コントラファゴットのスキルをそのまま応用でき、よりパワフルでダイナミックな演奏ができる感覚になるでしょう。
※似たような例ではバソン(フランス式ファゴット)にも近年デュカス社によりファゴットの運指で演奏できるタイプが登場しています。やはりより一般的な仕様に合わせることが普及の助けになるのでしょう。
またコントラファゴットの方が音域が広いため、低いC管であってもEb管の高音域に対応しやすいはずです。複数の調の管がある現状は煩わしく、仕様の統一につながれば奏者も作編曲者も扱いやすくなり使用が促進されるかもしれません。
おわりに
サリュソフォーンを扱いやすくするためにこんな仕様だったらいいなという理想案を書いてみました。
実際にサリュソフォーンに触れることはエキサイティングで、そのダイナミックな演奏感覚はコントラファゴットともまた異なり、1つの個性を感じる素晴らしい楽器です。
そんなサリュソフォーンが復活、普及、発展していくためにも、ハードルの高さを解消出来たらと経験を元に考えてみました。どこかで何かの参考になれば幸いです。