Heckelphone - ヘッケルフォン
アルプス交響曲でヘッケルフォン(Heckelphone)という楽器が指定されているので調べました。
【後日追加】ヘッケルフォンの動画
ヘッケルフォンは作曲家リヒャルト・シュトラウスがファゴットで有名なヘッケル社に依頼して作られた、バスオーボエ(オーボエよりオクターヴ低い楽器。バリトンオーボエとも言う)の一種の楽器です。
運指はオーボエ属と基本的に同じですが、管の素材はオーボエ属のグラナディラではなくファゴット属のメイプルを使用していています。リードもファゴット属に近い作りでバスオーボエのリードよりも大きくなっています(JDRカタログに載っていました)。そのためか「オーボエの指で吹くファゴット」という例えをどこかで聞いたことがあります。
ずんぐりした洋梨型ベルは先端が閉じていて、横にあいた小さな穴から空気が出ます。閉じたベルの真下にはエンドピンがついています。バスクラリネット同様に(それ以上に?)高い座高を必要とするため、ピアノ椅子に座って演奏することが多いようです。最低音はオーボエ属で一般的なBbより低いでAまで拡張されています。
(アルプス交響曲ではなぜかさらに低い音が指定されています。)
管の広がりの比率がオーボエ属よりも大きく、バスオーボエやファゴットよりも力強い太い音が出ます。アルプス交響曲の中(CDで聴いた)でもファゴットと比べて輪郭がはっきりした存在感の強い音という印象を受けました。オーボエ属特有の芯に響きを豊かに太らせたような、その響きはファゴットともまた異なってもっとダイナミックで、何とも他に例えられない音色に思いました。
実物は渋谷のノナカで飾られているのを見たことがありますが、ファゴットの見た目と同じぐらいの長さのストレートな茶色の管で、とても存在感があって何とも不思議な感じで見とれてしまいました。管の広がりが大きいためか、ファゴットよりも「大きい」という印象を受けました。
主な使用曲としては、
・R.シュトラウス/サロメ、エレクトラ、祝典前奏曲、アルプス交響曲
・ヒンデミット/ピアノ、ヴィオラとヘッケルフォンのための三重奏曲 Op.47
世界にも数えられる程しかない希少楽器で、バスオーボエで代用されることもあるようです(しかしバスオーボエ自体も希少楽器)。ヒンデミットのトリオはテナーサックスで演奏している例もあるようです。
最近アルプス交響曲のスコアを追っているので、どんな使われ方をしているか見てみます。