金管楽器からサックスが生まれる過渡期?オフィクレイド型バリトンサックス
とても珍しいオフィクレイドの形をしたバリトンサクソフォーンを演奏している動画を見つけました。
■historical bariton saxophon, shape ophicleide
オフィクレイドとは
オフィクレイドは19世紀前半に開発されたキーを開閉して音を変える金管低音楽器です。ファゴットのような二つ折りの形をしています。当時はまだピストンヴァルヴが開発されておらず、木管楽器のようにキーを開閉する方式が取られました。
使用曲はベルリオーズの幻想交響曲の「怒りの日」のテーマ部分が有名です。テューバの前身とされますが音域はユーフォニアムぐらいで音色もそれに近いです。後により音域の低い現在のバステューバ・コントラバステューバへと置き換わっていきました。
動画の楽器は何?
サクソフォーンはアドルフ・サックスがオフィクレイドにクラリネットのマウスピースを付けたことからアイデアを得た、という説を聞いたことがあります。この楽器はまさにそれに近い状態で、後に現在の形状になるまでの過渡期の楽器のようでもあります。
指の動きを見ると機構は既にサクソフォーンと同じになっていることが分かります。形状からするとキーを押す指の位置とパッドが開閉する位置の関係はむしろサリュソフォーンに近いといえます。
音を聞くとなかなか良い音がしますね。最低音はシ(実音D)で管は短く、現在のバリトンサクソフォーンより少し明るくて細い音のような気がします。
この動画の楽器の詳細は不明ですが、オフィクレイドが元になってサクソフォーンが生まれたその歴史が垣間見えるともいえる貴重な楽器です。