【動画まとめ】貴重なコントルバソン解説動画を見て分かったこと
フランス式のコントラファゴットである「コントルバソン」を詳細に解説する動画を見つけました。それを観て分かった事をまとめます。
動画の概要
■YouTube動画(2:00~)
動画で解説されているのはコントルバソンというフランス式のコントラファゴットで、バソンのオクターヴ下の楽器です。
(一般的なファゴット、コントラファゴットはドイツのヘッケル式)
ビュッフェ・クランポン製で、その形状から比較的新しい仕様だと判断できます。その楽器を解説した貴重な動画です。
動画の内容
コントルバソンについてこの動画を見て分かった事についてまとめます。主に2:00~の解説が理解を深めるのに役立ちました。
木部について
管体の木材について、
- ブビンガというアフリカの硬い木
- カメルーンで育った木
- むき出しの木
ヘッケル式のメイプル(楓)とは異なり、バソンに多いパリサンダー(ローズウッド)ともまた異なる木材だと分かります。
金属部について
この方はボーカルを差し込む金属管は" Octave pipe"と呼んでいますね。
ベルやU字管と「オクターヴパイプ」、金属部分はレッドブラス製とのことです。こちらもヘッケル式とは印象が異なり、木材の色に少し近いので馴染みます。
※レッドブラス:銅と亜鉛の混合比率が約90%:10%。 より赤みを増した見た目。 柔らかく、落ち着きのある音色。
低音域について
低音域(LowEb以下)のキーはバソンと同じ機構(すべてが親指操作のキー)だと分かります。
ベル側の管は奏者から見て左側に巻いてあることがヘッケル式との違いです。キーワークが近くなることと、演奏時に奏者の視界を防ぎにくくなる効果がありそうです。
なおビュッフェの古い機種では金属管が上に伸びてベルは折り返して下向き、という構造を見かけます。
オクターヴキーについて
オクターヴキーは2つで、
- 下キーはA~C#やHighAb~
- 上キーはD~G
というこの分担もヘッケル式と同様です。
(C#キーは小指側にあり)
右手親指キーについて
右手親指キーのLowEキーの上にあるのは(中音域の)Ebキーで、その横(指の付け根側)はBbキーです。ハンドレストが無いから配置できる位置なのかもしれません。
ヘッケル式のコントラファゴットではLowEの上はBbキーで、その上に替え指としてのEbキーが付いている機種が近年多いです。ヘッケル式のコントラファゴットでも難点のEbですが、やはりコントルバソンにもEb替え指はあるんですね。
バソンは薬指側のBbが標準だし、動画で言う通り親指Bbは通常無いものです。動画最後の演奏部分でも親指だけを使っているのが見て取れるし、その方が実用的なのでしょう。
その他のキーについて
解説には無いですが、ヘッケル式とは異なりバソン同様にFとF#は連結していないはずです。(バソンではF#キーを単独で使う事がある)
C#はバソン同様に小指側にあります。コントラファゴット同様にウィスパーキー機構は無いため、左手小指キーはこの1つだけになります。
Fトリルキーはヘッケル式でも上級機種を中心についていますね。
ボーカルについて
ボーカルはレッドブラス製とのことです。Crook(クルック)という呼び方もあるとは聞いていましたが、この方はそう呼んでいますね。
カーブの内側に補強のためのパーツが付いています。金属が少し柔らかいからとのことで、確かに補強はある方が良いですね。振動を止めてしまう可能性もありますが。
ジョイントについて
外見から分かる事ですが、中央部にジョイント分割がない事もヘッケル式との違いです。1mを越えると思われる長い木材を2本も使っているのが圧巻です。
おわりに
コントルバソンの解説動画を観てヘッケル式のコントラファゴットとの違いが色々と分かりました。
まとめると、
- バソンの基本的な仕様をベースとしている
- ファゴットとコントラファゴットの違いと同様の事情を反映している
- さらに独自のキー等を追加している
そのようなユニークな楽器でした。
バソン自体も希少なのでコントルバソンはなおさら希少で、少なくとも国内ではほとんど見かけることはありませんが(1度だけあり)、独特で興味深いです。
そんなコントルバソンを見かけたらぜひ注目してみてください。
※ちなみに動画終盤の演奏部分のバソンはメイプル製のものです。バソンの今後の動向も気になります。
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