顧問の先生に知ってほしい、吹奏楽部でファゴットを有効に使うための3つの留意点
吹奏楽の中でも個性的でよく分からない楽器であるファゴット。それを効果的に使うためには様々な配慮が必要です。
ファゴットで豊かに生きている人間として、今までの演奏活動や学校現場を見てきた経験から、個人的に顧問の先生にお願いしたい留意点を3点まとめてみました。
※忙しい方は太字だけ読んでみて下さい。
(1)ファゴットは最低2本以上で回すと良い
ファゴットは他の木管楽器と比べても構造が独特で、他の楽器の経験の応用では扱うことが難しいです。管が二つ折り構造であり、管の連結方法、水の流れと処理、持ち方や置き方ついて注意が必要です。
基本知識がない状で扱うと、管が腐る、管が歪んだり傷つく、キーが曲がる、楽器が転倒・落下するなどのトラブルを起こしがちです。特に初歩段階で起きやすく、せっかく高価な楽器を導入してもダメにしてしまっては良くないですよね。レッスンを受ける前の超基本事項が備品楽器を長持ちさせるためにも重要です。
そのためにはファゴットを扱ったことがある人に教わる必要があります。ファゴットの講師にレッスンを受けることが理想ですが、基本事項は「先輩」でもそれを担う事ができるためその存在は重要です。知識0の状態から初歩的な事を調べるのはとても大変で、他の楽器と比べて手間がかかり置いていかれてしまいます。先輩さえいればこれが当たり前のように引き継ぐことができます。
もう1つファゴットが2本以上が望ましい理由は、パートとしての存在意義を保持することです。1人だとどうしても孤立感が出てしまい、大音量の吹奏楽サウンドの中で埋もれやすく、存在意義を失いがちになります。ファゴットを吹く上での様々な実感を気軽に共感できる相手がいないと、モチベーションが下がってしまい続かなくなってしまいます。
したがってファゴットは最低でも2本あると良いです。特に1学年1本(以上)でコンスタントに回すことが理想です。サウンドの効果としても低音楽器で唯一ディヴィジョンが一般的な楽器です。オクターヴで分かれたり五度や三度やハモったり、1本だけよりもサウンド的にも奏者のやりがい的にも相乗効果があります。常に2本以上いることで、指定されている必要なサウンドが欠ける事がなくなります。
・ファゴットは2本以上が良い
(2)リード代は一部補助してほしい
ダブルリードはその楽器だけでなく、消耗品であるリードも高価です。安くても1本2500円はかかり、これは学生にとっては大きな出費です。さらにリードは1本では不十分で、長持ちさせるためには似たリード2本以上をローテーションさせて使います。それを買い替えると一度に5000円以上かかります。
リードの状態は変化し、たとえ試奏できる場所で良いリードだったと感じたとしても、温度、湿度、演奏場所などの変化により全く使い物にならないこともあります。これは20年近く演奏している私でも同じで、経験数年の学生にはより大きな課題でしょう。
リードの状態が悪いと良い音が出ないのは言うまでもありません。また良いリードだからといって古いリードを長く使い続けるとアンブシュアに変な癖がつきます。良い演奏を継続するためには、定期的に新しい良いリードを安定的に入手することが必要です。しかし常に良いリードの在庫があるとは限らず、さらに買い足さないといけない事もあり、心理的にも金銭的にも負担になり演奏することが辛くなってしまいます。
そんな負担を軽減するために、リード代の補助をしてはいかがでしょうか。私の高校時代には1本あたり1000円の補助がありました。学生にとって1000円というのは大きな金額です。より安定した良い音楽をするためにはこのような配慮も助けになります。
・ファゴットのリード
(3)ファゴットが活かされる曲も選曲してほしい
特に中学・高校ではポップスやマーチなど派手な曲を選ぶ比率が大きくなると思います。これらの曲はファゴットにとって正直あまり面白くない曲です。大音量の中で埋もれやすい、譜面が低音楽器と丸被りで自分の音が活かされない等。これは吹奏楽でファゴットの存在意義を感じられない大きな要因の1つです。
そこで選曲に組み込んでほしいのが、A.リード、J.バーンズ、P.スパーク、J.デ=メイといった作曲家による作編曲作品です。彼らの作品は洗練されていて素晴らしく、ファゴットを1つの重要な色として扱っていて活かされている実感が明確にあり、ファゴット吹きにとってやりがいがある曲達です。ぜひこれらの作品を意識的に取り入れてほしいと思います。
※こちらも参照→吹奏楽にファゴットは必要か?と疑った時に推察される3つの問題点
・ステージ上のファゴット
またコンクールや演奏会のオフシーズン等にアンサンブルとして木管五重奏にもぜひ取り組んでほしいです。吹奏楽の合奏と比べてファゴットの必要性を強く感じることができ、技術・意識のレベルアップにもつながります。
おわりに
ファゴットを扱う上で顧問の先生に意識してほしいことを3つにまとめました(本当はまだあるのですが)。
せっかく高価なファゴットを扱うので効果的に使いたいですよね。学生側も良い音楽をして充実した活動をしたいわけですから、継続的にそれに応えてあげられるような体制作りが重要になります。何か参考になりましたら幸いです。
・効果的に使いたいファゴット
【関連】