【吹奏楽とファゴット(2)】木管五重奏のススメ ~ ファゴットの存在意義と主体的な音楽作り感覚を養う
吹奏楽でファゴットを吹いている場合にアンサンブル、特に木管五重奏をぜひやってほしいというお話です。
・木管五重奏の楽器
はじめに
吹奏楽でファゴットの存在意義が感じにくいことがあります。吹奏楽は管弦楽と比べて物理的な音量が大きいため、特に木管楽器は全体的には埋もれやすい場合が多いです。
周りの音に埋もれていると、自分の音が良く分からなくなったり存在意義を見失ったりしがちです。そうなると演奏が楽しいと思えなくなってきます。
そこでお勧めしたいのはアンサンブルです。演奏会や吹奏楽コンクールがオフシーズンの時期にアンサンブルをやっている学校もあると思います。特に「木管五重奏」という編成がお勧めです。
アンサンブルでは個人個人がソロになることで緊張感と音1つ1つへの責任感が高まり、演奏の技術や意識のレベルアップ、またお互いの関係性向上に繋がるためとても有意義な経験になります。
木管五重奏とは
木管五重奏は一般的にフルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットによる五重奏で歴史がある編成です。金管楽器のホルンもここに含まれています。
これらは管弦楽では良く意識しあう事が多いグループの楽器群ですが、吹奏楽にも存在している楽器群でもあり、同様の編成が可能です。
ネックとなりやすいのはダブルリードですが、話の前提であるファゴットが居ればオーボエがいないということはあまりないと思います。
サックスアンサンブルなど同属楽器のアンサンブル編成と比べると音色が多彩であることが特徴で、それゆえに合わせることは比較的難しいとされています。
1つ1つが代わりのないソロの楽器となるため完全に裸の音になります。ファゴットも必要な楽器の1つとして主体的に音楽作りをする経験になります。
おすすめの曲
木管五重奏の定番曲はハイドン作曲のディヴェルティメントです。良く演奏される名曲なので聴いたことがあるかもしれません。
4つの楽章からなりいずれもお馴染みのB-durであり、そこまで難しい曲ではありません。繰り返しを入れた場合で約10分です。
以下が参考の演奏動画です。
■Divertimento by Joseph Haydn
配置はこの動画の順番が一般的です。指揮者はおらず、一旦全員の音が消えた後に入ったりrit.したり、お互いに息を合わせている雰囲気が分かります。
音1つ1つの処理を考えたり、曲をどう作り上げていくかを取り決めたり、お互いを意識し合ったり、様々な事を学ぶ経験になります。ファゴットも全ての音が大事で、ファゴット本来の魅力を感じることができるでしょう。
おわりに
吹奏楽のファゴット吹きは木管五重奏をぜひ経験してほしいです。やるとやらないとではファゴットを吹く楽しさの感じ方が全く異なるでしょう。
特に埋もれやすいファゴットはその違い最も感じられる楽器だと思います。それにより技術の安定、音色へのこだわり等、様々な新しい感覚を得やすくなります。
その経験は普段の吹奏楽の合奏でも生かされ、ソロがある曲などファゴットがより活躍する曲に挑戦しやすくなったり選曲の幅が広がります。またお互いを意識し合うアンサンブルもしやすくなります。
ぜひファゴットが音量が小さく埋もれやすく音が被る楽器という感じではなく、ファゴット本来の主体的に音楽をする楽しさを感じてほしいです。
※その他ジブリ系、ディズニー系やクリスマスソング、ポップス曲から気軽に始めるのもありです。シャープ系の曲だとクラリネットがA管の場合があるので編成は要確認です。