見とれてしまう美しさ、古いクランポンバソンの外見の美しさを探る
先日購入したバソンですが、外見がとても美しくて見とれてしまいます。なぜこれほど美しい印象を受けるのか、その構造の秘密を探ってみます。
材質の木質感
表面がつるつるしているファゴットとは異なりローズウッド(パリサンダー)の生の木肌感があります。これはクラリネットやオーボエに似ていますが、普段ファゴットを見ているとこの質感が新鮮で美しく感じます。
メッキの状態の良さ
古い楽器の割にメッキがとてもきれいで輝いています。やはりこれは印象を良くしています。クランポンのバソンはクロムメッキだとどこかでみたのですが、それなら本来は銀どころかニッケルよりも酸化しやすいはずです。この楽器は銀メッキか何かに直したのでしょうか。
テナージョイント親指キーの並び
テナージョイントの4つの親指キーが同じような形できれいに並んでいて、これも印象的です。ファゴットでは少しずつずれている3つのキーのカップも縦に並んでいて、ウィスパーキーとの連結もきれいに並んで統一感がありすっきりしています。
LowDキーガードの装飾が美しい
Buffet Cramponを表すBCマークがついています。これは近年のバスクラリネットのベルにも付いていますが、こういう装飾があると格調高さを感じさせます。ファゴットのものは機能的でそっけなく感じてしまいます。
ベルが美しい
印象的なフレンチベルがとにかく美しい。ファゴットのジャーマンベルも絶妙な曲線が美しいですが、一段くびれてそこから広がっていく形状はいかにもベルを美しく形作ろうとした感じがします。どこか高級感のある家具のような感じがします。先端はオーボエのベルに近い印象を受けますね。
キーのカップが一直線上にある
ダブルジョイント、ロングジョイントとベルがそれぞれキーのカップが一直線上にあると気付きました。ダブルジョイントも2つのトーンホールと4つのキーが一直線上に並んでいます。組み立てた時にもロングジョイントの5つのキーとベルの合わせて6つのキーが均等に奏者側にきれいに並んでいます。
実は新しい機種は設計変更がされてこの法則が崩されています。たとえば最低音やLowDb,Ebはキーの軸を2つから1つに減らして連結をなくし、素早いアクションを実現させているようです。そういう意味ではこの時期の楽器が持つキー設計の美しさは今はもうない貴重なものです。
ジョイントの長さがちょうどよい?
これは感覚的な私見ですが、各ジョイントの長さがちょうどよいと思います。ロングジョイントがファゴットの通常の4ピースと5ピースの中間ぐらいであり、ベルとダブルジョイントは若干長くなっています。各ジョイントの長さが平均値に近くなり、バランスよく感じるのかもしれません。
以上が気がついた点です。
この楽器は作られてから50年以上経っているのでアンティークな工芸品ともいえます。様々な所で美意識が感じられる、時を経ても色褪せることのない魅力的な楽器です。