ファゴットと同じようで微妙に異なる、バソンのキー機構について - 楽器探究|音楽ブログ|みやだい

ファゴットと同じようで微妙に異なる、バソンのキー機構について

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バソンのキーシステムでファゴットと根本的に異なる点は、LowEb,Dbキーが親指側に移動していることと、ウィスパーとC#キーが小指に移動していることです。

・LowEb,Dbが親指側にある。バソンのロングジョイント・親指側

・ウィスパーとC#は小指側にある。テナージョイントから小指キーが出ている。バソンのテナージョイント・4指側

それ以外で細かい違いについて検証していきます。

最低音周辺

ロングジョイントの親指キーのうち閉じるキーは、ファゴットはD,C,B,Bbの4つありますが、バソンでは3つに減っています。

・バソンの左手親指キー周辺バソンの左手親指キー周辺

これは次に挙げる独特のキー機構によるためです。

ベルのキーは通常閉じていて、CとB(シ)の時だけ開くようになっています。これは、「Cキーを直接押している時だけ開く」構造になっているためです。

* Cキーを押すと、Cが閉じてBbが開く → Cが鳴る
* CキーとBbキーを押すと、CとBが閉じてBbが開く → Bが鳴る
* Bbキーだけを押すと、C、B、Bbが閉じる → Bbが鳴る

Bbを出す時はBbキーに連動してCキーのカップも閉じますが、「Cキーを直接押していない」ので開いていたBbキーが閉じることになります。これによってロングジョイントとベルのすべてのキーが閉じ、最低音が出るのです。

ウィスパー連動

バソンのウィスパーキーはファゴット同様に親指側にもありますが、小指側のキーを基本に使うようです。バソンではファゴットでいうAキー、Cキーを押すと連動してウィスパーキーが閉じる構造になっています。ファゴットではAキーのみ連結がある機種が近年増えていますが、バソンでは50年も前からあったというのが驚きです。

・ウィスパーキー連動バソンのウィスパー連動

例えばCのオクターヴ移動などでファゴットのように親指ジャンプせず、小指ウィスパーを押しっぱなしで良いのは楽ですね。

親指Fの替え指がある

色々画像を探すとこれがある機種とない機種があるのですが、親指側にFの替え指キーが付いています(写真右側のキー)。

バソンの右手親指側

このFキーを押しながらG#キーを押すと、閉じていたFキーも一緒に開いてG#に上がるようになっています。これはたぶんF#-G#トリルで使うのではと思います。バソンはF-F#連結がないため、親指でF#とFを同時に押すことで小指をフリーにしています。

ファゴットではFキーを押すとパッドにつながるキーを押し上げてテコに伝わりFキーを閉じますが、これだとFキーを押した状態ではFキーはキャンセルできない構造です。バソンではFキーを押すとパッドにつながるキーが追いかけて上がる形なので、別のキーがそれを押し上げる事が可能です。
(ファゴットの場合F#運指+G#キーで良いのでFキーをわざわざ開いていないという違いがあります)

こんな感じでファゴットと同じようで微妙に異なるキーシステムになっています。

   

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Written by みやだい

ファゴットが好きな「みやだい」です。コントラファゴットやファゴッティーノやバソンも所有。真面目マイペース平和主義、前向きでいたい。
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