「ファゴット」と「バスーン」の違い
「ファゴット」と「バスーン」の違いは何か?と疑問を持つ方もいるかと思います。そのことについて書きます。
※2025/02/19 呼称の区別例を追加。
※2021/10/26 内容を微修正しました。
ファゴット・バスーン
「ファゴット」と「バスーン」の違いについて、
結論としては、
同じです。
要するに、
- バスーン(Bassoon)は英語
- ファゴット(Fagott)はドイツ語(またはイタリア語のFagotto)
ということです。野球とベースボールは同じなのです。
↓ファゴットを知らない方のために:エレキベースより少し長いぐらいの木管楽器です。
日本では管弦楽や吹奏楽のほとんどの楽器名は英語で呼ぶことが一般的ですが、ファゴットは英語とドイツ語両方の呼び方が混在している状態です。ファゴットがドイツ式(ドイツのヘッケル社の「ヘッケル式」)が主流であることが関係あるかもしれません。
吹奏楽の譜面の楽器名は英語で統一して"Bassoon"(バスーン)と書いてある場合が多いですが、楽器の事は「ファゴット」と呼ぶ人が多いように思います。管弦楽の譜面では出版社の言語次第で下記のように様々な表記を見かけます。
- Fagott(独)
- Fagotto(伊)
- Bassoon(英)
- Basson(仏)
団体や企業では、「日本ファゴット(バスーン)協会」のように両方を併記したり、「日本ダブルリード株式会社(JDR)」では「バスーン」を主に用いたり、「ヤマハ」のように他の楽器は英語なのに「ファゴット」を用いたりしている例もあります。
【追記】各HPを元にどちらの呼称を使っているかを調べました。
・ファゴット
- ノナカ・ダブルリード・ギャラリー
- DAC ※(バスーン)の補足あり
- ドルチェ楽器
- 下倉楽器
- 山野楽器
- ヤマハ
- ダケダバスーン ※会社名以外はファゴット
- ファゴットフェスティバル
- 東京音大
- 武蔵野音大
- 東京藝術大学
- 全日本吹奏楽連盟 ※ファゴットだがパート譜名は英語でBassoon
- 大阪市音楽団
- NHK交響楽団
- 東京フィルハーモニー交響楽団
- 大阪フィルハーモニー交響楽団
・バスーン
- フォックスウインズ ※アメリカのブランドのため英語。HP内記載の外部名称はファゴットのまま。
・併用
- 日本ファゴット(バスーン)協会 ※団体名や説明的な記述は併記だが、ファゴットがメイン
- JDR ※バスーンが主体だがファゴット表記も多い(昔より増えた気がする)
- 東京佼成ウインドオーケストラ ※項目名はバスーンやBassoon、インタビューなどはファゴット
このように「ファゴット」と「バスーン」は両方を使うケースがあるのが現状で、言語的な違いで同じものだと認識しておく必要があります。そしてファゴットの方が優勢の傾向があります。
コントラファゴット・コントラバスーン
さらに「コントラバスーン」と「コントラファゴット」についても全く同様の事が言えます。
※ファゴットよりオクターヴ低い移調楽器。
- コントラバスーン(Contrabassoon)は英語(Double Bassoonと呼ぶこともあり)
- コントラファゴット(Kontrafagott)はドイツ語
↑コントラファゴットでありコントラバスーンでもある。
関連:バソン
余談になりますが、フランス語では「バソン」(Basson)といい、単語的には言語の違いだけでファゴット、バスーンとも同義です。
しかし「フランス式」の機構を持つファゴットの事を、日本では「バソン」「バソンフランセ」「フレンチバスーン」と呼んで区別する傾向にあります。
↑右がフレンチシステム(フランス式)である「バソン」
「バスーン」と「バソン」の呼称は似ていて混同されることがありますが、一般的にはそれぞれドイツ式、フランス式を意図して使っているケースが多いと思います(但しフレンチバスーンと言えばバソンのこと)。
スペルも似ていてバスーンは"Bassoon"、バソンは"Basson"と"o"が1つ少なく、英語表記のつもりで誤記しているケースも見かけます。
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終わりに
「ファゴット」と「バスーン」は言語的な違いで同じ楽器を差している
ということになります。私や周りのほとんどの人は「ファゴット」と呼んでいますが、少数派ながら「バスーン」と呼ぶ人も確かにいます。
ただでさえ知名度が低い楽器の説明が複雑になるので、本当はどちらかに統一してほしいと思う時もありますが…。素晴らしい楽器なので名前の事情と共にぜひ広まってほしいです。
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