「ファゴット」と「バスーン」の違い
「ファゴット」と「バスーン」の違いは何か?と疑問を持つ方もいるかと思います。そのことについて書きます。
※2021/10/26 内容を微修正しました。
ファゴット・バスーン
「ファゴット」と「バスーン」の違いについて、
結論としては、
同じです。
要するに、
- バスーン(Bassoon)は英語
- ファゴット(Fagott)はドイツ語(またはイタリア語のFagotto)
ということです。野球とベースボールは同じなのです。
↑ファゴットを知らない方のために:エレキベースより少し長いぐらいの木管楽器です。
日本では管弦楽や吹奏楽のほとんどの楽器名は英語で呼ぶことが一般的ですが、ファゴットは英語とドイツ語両方の呼び方が混在している状態です。ファゴットがドイツ式(ドイツのヘッケル社の「ヘッケル式」)であることが関係あるかもしれません。
吹奏楽の譜面の楽器名は英語で統一して"Bassoon"(バスーン)と書いてある場合が多いですが、楽器の事は「ファゴット」と呼ぶ人が多いように思います。管弦楽の譜面では出版言語でFagott(独),Fagotto(伊),Bassoon(英),Basson(仏)等と各言語での表記を見かけます。
団体や企業では、「日本ファゴット(バスーン)協会」のように両方を併記したり、「日本ダブルリード株式会社(JDR)」では「バスーン」を主に用いたり、「ヤマハ」のように他の楽器は英語なのに「ファゴット」を用いたりしている例もあります。
このように「ファゴット」と「バスーン」は両方を使うケースがあるのが現状です。言語的な違いで同じものだと認識しておく必要があります。
コントラファゴット・コントラバスーン
さらに「コントラバスーン」と「コントラファゴット」についても全く同様の事が言えます。
※ファゴットよりオクターヴ低い移調楽器。
- コントラバスーン(Contrabassoon)は英語(Double Bassoonと呼ぶこともあり)
- コントラファゴット(Kontrafagott)はドイツ語
↑コントラファゴットでありコントラバスーンでもある。
関連:バソン
フランス語では「バソン」(Basson)といい、単語的には言語の違いだけでファゴット、バスーンとも同義です。
しかし「フランス式」の機構を持つファゴットの事を、日本では「バソン」「バソンフランセ」「フレンチバスーン」と呼んで区別する傾向にあります。→こちらを参照。
↑右がフレンチシステム(フランス式)である「バソン」
「バスーン」と「バソン」の呼称は似ていて混同されることがありますが、一般的にはそれぞれドイツ式、フランス式を意図して使っているケースが多いと思います(但しフレンチバスーンと言えばバソンのこと)。
スペルも似ていてバスーンは"Bassoon"、バソンは"Basson"と"o"が1つ少なく、英語表記のつもりで誤記しているケースも見かけます。
終わりに
「ファゴット」と「バスーン」は言語的な違いで同じ楽器を差している
ということになります。私や周りのほとんどの人は「ファゴット」と呼んでいますが、少数派ながら「バスーン」と呼ぶ人もいます。
ただでさえ知名度が低い楽器の説明が複雑になるので、本当はどちらかに統一してほしいと思う時もありますが…。素晴らしい楽器なので名前の事情と共にぜひ広まってほしいです。