吹奏楽関係者には突っ込みどころ満載?!科捜研の女「マリコVS疑惑の警察音楽隊」

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ドラマ「科捜研の女」で警察音楽隊が題材となった事について、吹奏楽愛好家の1人として素直に感じた事を書いてみます。

警察音楽隊のイメージ

はじめに

先日のドラマ「科捜研の女」では警察音楽隊が題材となりました。吹奏楽がドラマの舞台になることが珍しく、また様々な突っ込みどころがあることもあり、吹奏楽関係者の間でも話題になりました。

予告の時点でもマリコがチューバを抱えたりチューバのソフトケースに入るシーンがあり、チューバが凶器だったりするのかなと、どんな内容になるのか楽しみにしていました。

主なストーリーのポイント

ストーリーの主なポイントはこんな感じです。

  • 遺体の傷の付着物はリード材(暖竹)
  • オーボエのリードナイフの血痕と一致
  • リードナイフは左手用(オーボエ奏者は演奏者で唯一の左利き)
  • リードナイフが欠けてたからチューニングが変だった
  • 遺体にヴァルヴオイルが付着していた
  • トランペットが凹んで音程が狂ってた
  • トランペットとオーボエのケースに被害者の繊維片

これらの事からオーボエ奏者とトランペット奏者が疑われるような形で進行しましたが、決定的な証拠にはなりませんでした。科捜研は楽団側に楽器や備品の提出を求め続け、犯人扱いされる楽団側は警察官と音楽家という立場の間で葛藤します。

検証を進めていくと、

  • チューバのソフトケースがなくなっている
  • 楽器倉庫に血痕がある
  • ウィリアムテル序曲のトランペットの楽譜の2枚目だけインクが違い、左手で書いた時の跡がある
  • 防犯カメラに楽団員の衣装を着た人が映っている
  • 例年と違いMCのマネージャーが白い手袋をしていない

このことから楽器倉庫が犯行現場で、マネージャーが犯人であることが判明しました。

マネージャーは、ヴィンテージのエレキギターを狙って楽器倉庫に侵入した楽器泥棒ともみあっているうちに、オーボエのリードナイフで切り殺してしまった。正当防衛であっても退職を避けられない処分を恐れてチューバのソフトケースに死体を入れて崖下に遺棄し、血に染まった楽譜はスコアから書き写し直した。

書き直したのはトランペットのパート譜の2枚目のみで、本来inBbで書かれるはずがスコアと同じ実音表記(inC)になっていました。書いたのが演奏者だとしたら、このぐらいの知識は持っているのでありえないミスです。マネージャーに楽譜を書かせたところ左利きであることが判明し、真実が明るみになりました。

大体こんな感じです。記憶をたどっているので多少違いはあるかもしれません。

作者が吹奏楽についてある程度知っているのか関係者にヒアリングしたのか、関係者しか知らないような知識を織り込んでいる、確かに良く考えられたストーリーです。吹奏楽に関わるものとしては色々無理があると感じてしまう事も多々あり、それがかえって面白さを増しています。

突っ込みどころ

突っ込みどころとしては、

  • クラリネットではなくオーボエがBbでチューニング
  • オーボエのリードは1つだけ?本番前に状態をチェックしない?
  • 指揮者の「トランペット、ちゃんとバスドラを聞け!」という謎の指示
  • トランペットのチューニング管を抜きすぎ
  • リードに日本の葦を使うことは一般的ではない
  • 鑑定するリードは各奏者1つだけ?
  • 吹奏楽に一般的とはいえないキーボードとエレキギターが加わっている
  • ホルンとユーフォニアムがいない、オーボエ募集するぐらいなら普通入ってる
  • 音大卒者という設定には不釣り合いの4ピストン並んだのチューバ
  • 譜面ソフトがある時代に手間をかけて手書き?
  • 1時間で楽譜を書き写しつつ死体を運ぶなんて無理

等々。

あの小編成でオーボエ奏者が居ることなどは、ストーリーを成立さえるための強引な設定と感じます。ユーフォニアムもチューバと似ていてわかりづらくなるから省略したのかもしれません。

そしてこういうドラマにあるがちですが、楽器の扱い方、持ち方、置き方も見ていてひやひやします。犯人ともみあうシーンとはいえ、楽器を投げつけるシーンも痛々しいですね…。

まとめ

ドラマとして分かりやすくするために結果的に突っ込みどころが満載になった感がありますね。もし50人編成の楽団が出てくると詳しくない人には楽器が多すぎてわけ分からなくなっていたと思います。

もちろんコストの問題もあるでしょう。楽器の扱い方については、初心者レベルの俳優さんに扱わせるのだからある程度は仕方ない気がします…。

でもヴァルヴオイル、リードナイフ、移調譜など、吹奏楽に関する様々な小ネタが出てきたし、突っ込みどころがあるからこそ楽しめたのではと思います。

鑑定中のBGMもさりげなく吹奏楽バージョンにもなっていました。吹奏楽コンクール全国大会の直前に、吹奏楽関係者が盛り上がるきっかけになったのは良かったと思います。

警察音楽隊のイメージ

P.S. 注意事項

チューバのケースに人が入ることは、窒息の恐れがあるため真似しないで下さい。楽器より人の方が遥かに重たく、持ち上げるのもケースの破損にもつながります。

そしてリードナイフは確かに凶器になりえますね、飛行機の機内持ち込みもできないですから。実際に凶器にならないことを願います。

   

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Written by みやだい

ファゴット一眼レフ風景写真が好きな「みやだい」です。コントラファゴットやファゴッティーノやバソンも所有、風景写真は定期的にテレビ等に提供しています。旅行、猫も好きです。真面目マイペース平和主義、前向きでいたい。
X(旧Twitter) → @iadayim



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