コントラファゴットのケースと運び方 ~ ハードケースとギグバッグの例
私は個人でコントラファゴットを所有し、ファゴットと共に豊かに演奏活動を楽しんでいます。今回はコントラファゴットの運搬について書きます。
【2023/10/20更新】10年経過し内容が古くなったため全体的に内容を改善しました。
はじめに
個人でコントラファゴットを所有しています。コントラファゴットは管弦楽や吹奏楽で使用される最大級の木管楽器の1つです。
コントラバスやチューバと比べると厚みは薄いですが約140cmの長さがあり、重さも管楽器では最重量級です。
そのため気軽に運搬することがは難しい楽器ですが、せっかく高価で貴重な楽器を所有しているので何とか楽器を活用したい想いがあります。
・ステージ上のコントラファゴット
そこで今回はコントラファゴットの持ち運び方法について色々と検証してまとめました。所有するAmatiの楽器について、実際に私が行っている運搬方法を中心に紹介していきます。
ハードケース
ハードケースについて
Amatiの場合はハードケースは重さが約9kg、楽器は約6kgで合計15kgを越えてとても重いです。ケースの長辺の長さは約1.4m(ファゴットの倍)もありとても長い箱です。
それでもAmatiの楽器は他のメーカーに比べるとケースの厚みが薄くコンパクトで軽い方です。
・ハードケース(ファゴットのFOXコンパクトケースと比較)
この楽器を手持ちで持ち歩くのは重さだけでもかなり困難です。持ち手が1つしかない場合も多く、片手で持つにはかなり体力的な負担が大きいです。長さもあるのでぶつけやすく、常に周囲に気を配らないと歩くこともできません。
このようにハードケースはとても扱いづらく手持ちは困難です。そのため、コントラファゴットは車での運搬が基本ということになります。
・ケースを開いたところ
車載方法と注意点
大型のワゴン車では横に置ける場合もありますが、通常の乗用車では(後部座席・トランクに)横に置くと車の幅が足りません。そのため、車の「前後方向」に積むことが基本となります。
助手席の座席を倒して後部座席~助手席のところに置く方法と、後部座席を倒して後部のトランク部分~後部座席に置く方法があります。
底が平らになるように注意し、また衝撃吸収のため毛布などを敷いた方が良いです。トラックに積む場合は平らで安定した場所に動かないように固定し、上には重たいものを載せないようにします。
※季節に関わらず、デリケートな木管楽器のため、気温や湿度の変化する夜間に車やトラックに積みっぱなし、ということは必ず避けて下さい。
ギグバッグ(ソフトケース)
ギグバッグについて
ハードケース以外にもギグバッグ(ソフトケース)が存在します。私は公共交通網が発達している東京都内が生活圏であるため、実際にはこのギグバッグで手持ち運搬で移動することが多いです。
アルティエリ社製のギグバッグを利用しています。ギグバッグは強度はソフトケース扱いですが、楽器の保護を追求したクッション構造になっています。
・コントラファゴットのギグバッグ(左)。右はファゴットのケース
ケースだけの重さは約1.8kg、楽器込みで8kgとハードケースの半分の重さで軽量であり、手持ちでの持ち歩いたり、電車に乗ったりすることも十分可能な重さと形状です。
持ち方は、横の持ち手の他、ショルダーとリュックのベルトが付いています。ショルダーやリュックは意外と重さを感じません。そして念のため接続部分は結束バンドで固定しています(過去にファゴットのケースのベルトが外れた経験から)。
・ギグバッグを背負ったイメージ(ファゴットも一緒に)
楽器自体がスリムかつケースが柔らかいため、股にはさんで電車の椅子に座ることも可能で、ギグバッグ+バッグ(後述のスタンドを入れても)ぐらいならばそれほど運搬の負担は感じません。
あくまでソフトケースのため、超満員の電車に乗らない、他の人や荷物がぶつかる場所に置かない等、楽器の破損防止を強く意識する必要があります(高価な楽器であろうが周りの人は単に邪魔な大きな荷物だと思っているでしょう)。
難点としては、ケース自体が自立しないため、常に手で持つかスペースのある場所に置く必要があります。それさえ気を付ければ快適に持ち歩きができるケースです。
・電車内でのサイズ感、薄さは有利
長辺はハードケースより若干短く、真四角のケースより若干斜めにも置けるので、乗用車後部座席に横方向に置くこともできます(但し、人が抱えて持つ等の衝撃吸収対策は必須)。
ギグバッグの構造
ケース内部は全体がクッション構造で、楽器本体をそのまま収納します(ボーカルだけ外す)。
・ギグバッグを開いたところ
私は念のため衝撃吸収対策として、ケース内の楽器下端のU字管部分を「気泡入り緩衝材」(いわゆるプチプチシート)で包むようにしていますがそれぞれ工夫して下さい。
ケース外部にはボーカル2本のポケットと、下部にA4サイズの譜面や小物が入る三角形の広い収納場所があります。
・ギグバッグ外側
ボーカルは不安かもしれませんがポケット内はクッション構造であり、今の所曲がったりするトラブルは起きていません(もちろん圧迫しないように要注意)。
下部の三角スペースは内部にさらに小さなポケットがあり、リードケースやスワブやハンドレストを入れています。
スタンドも一緒に
コントラファゴットを使う時には基本的にスタンドも必要になります。車で運搬する場合は別途積めば問題ありませんが、手持ちではどうでしょうか。
スタンドには様々なタイプがあり、Aidaのような大型でしっかりした作りのものは据え置き向きタイプ、オオハシは折り畳み出来てある程度堅牢さがあるタイプです。しかしどちらも手持ちで運ぶことは大変です。
そこで私はFOX社製の3分割のパイプ状のスタンドを使用しています。このスタンドはコンパクト・軽量であり持ち歩きが可能なレベルです。
・スタンドを分割
これは比較的低い位置で支えるスタンドです。強度・安定感とのトレードオフにはなりますが、今の所トラブルは起きた事がありません。
・楽器をスタンドに立てた所
私はアルティエリのギグバッグと共に、このスタンドを私物込みのバッグに入れて持ち歩いています(ギグバッグには入らない)。パイプは少し長めかつ立体的なためバッグの中で少し体裁が良くないですが、前述の重たいスタンドよりは大分ましです。
なお練習時間が短い場合や、後述のファゴットとの持ち替えがない場合などは、負担軽減のためにスタンド持参を省略することもあります。それだけでも大分心理的に楽になります。
【関連リンク】
※FOX製のスタンドは仕様が変わったようで調査中です。
※WoodWindDesign製のさらにコンパクト・軽量なスタンドがあるようで注目中です。
ファゴットも一緒に
コントラファゴットは単体で使用する場合もありますが、実際にはファゴットも必要な場合が多いです。車の場合は両楽器と両スタンドを積めば良いですが、手持ちの場合はどうでしょうか。
私はファゴットは普段から軽量なJDRライトケース(セミハード、1.5kg)、スタンドはアイダの折りたたみ式スタンド(F-150 ※)という軽量・コンパクトの組み合わせで持ち歩いています。
※後日追記:リーズンスタッフのスタンドに変えてさらにコンパクト軽量化しました。
※ファゴットもWoodWindDesign製のよりコンパクト・軽量なスタンド(ロングジョイント内に収納可能!)に注目中です。
・両楽器共コンパクトなスタンドを使用
それらをコントラファゴット(と前述のFOX製スタンド)と共に持ち歩いています。さすがに体力に余裕がないとちょっと辛いですが、何とか持ち歩きが実現しています。
※ファゴットは重たいハードケースだと厳しいかもしれません。
・ファゴットとコントラファゴット持参の荷物量イメージ(両スタンド込み)
具体的には、コントラファゴットのギグバッグを背負って、ファゴットのケースをショルダーで左肩にかけて、私物やスタンド等が入ったバッグを右肩にかけます。両ケースとも厚みが薄いため、電車で座って前に置くことも可能です。
前述の通りギグバッグの体裁が良くないため、しっかり持ち続ける必要があるのは多少負担にはなります。電車内で立ち続ける時はギグバッグのリュックを下して体力を温存しています。短距離の乗換などちょっとした移動の時は抱えます。
多少の体力と工夫は必要ですが、このような形でファゴットとコントラファゴットと両方のスタンドの手持ちが実現し、実際に練習や演奏会に行っています。
おわりに
通常は楽団所有の楽器を車で運搬している事が多いかもしれません。私の場合は個人所有でエキストラで都内を中心に様々な場所に出向く関係で、手持ちという特殊な方法が発達してしまいました(笑)。
何よりも貴重なコントラファゴットが活用されることが嬉しいので、これからもフットワークの軽いコントラ吹きを目指します!
・ファゴットとコントラファゴット
※前述の通りWoodWindDesign製のスタンドを使うとより快適になると思っています。