コントラファゴットも分解する時代に?!Wolf社に新たなコントラファゴットの改良型
Wolf社から分割可能なコントラファゴットが登場しました。この楽器について考察してみます。
はじめに
Wolf社といえばコントラファゴットの改良であるコントラフォルテがあります。管の巻き方を変えて管を太くし、超高音域が出せるようにキー機構も独自に追加されています。
こちらを参照→KONTRAFORTE (english) | Guntram Wolf Holzblasinstrumente GmbH
もう通常のコントラファゴットは扱わないのかな…と思っていた所、メーカーHPを見ると驚くべき楽器が載っていました。
どうやら再びコントラファゴットが、その改良型が登場したようです!しかも今までにない斬新な仕様となっています。
どのような楽器か?
その楽器は"KONTRAFAGOTT KRONWALT"という名で紹介されています。
こちらを参照→Kronwalt Kontrafagott | Guntram Wolf Holzblasinstrumente GmbH
※画像の引用をやめたのでリンク先をご覧ください。
特徴的なのは、
- 楽器の下部1/3ぐらいの所でジョイントを分解できる
- ボーカルに2つのキーが追加されている
なんと一部の管が分解できるようになっていたのです。コントラファゴットは通常サックスのようにネック(ボーカル)以外は分解できず、そのままケースに収納するしかなかったのですが、これが下部を分解できるようになっています。これによりあの約1.5mという異様に長いケースの長さが短くなり、扱いやすくなります。
ボーカルについている2つのキーはコントラフォルテからのフィードバックだと思われます。コントラフォルテは4オクターヴ半というファゴットの高音域をカバーする驚異的な音域幅を持っていますが、この楽器も恐らくそれと同じ仕様になっているのでしょう。自転車のブレーキホースのような形が新鮮です。
その他、ボーカルを差し込む管が金属製ではなく木製管になっているのと、U字管から地面まで伸びているウォーターパイプがあります。これはコントラフォルテが出る前のWolf社のコントラファゴットと変わりありませんが、他のメーカーにはないユニークな仕様です。
ジョイント分割について
特に革新的なジョイント分割について考察してみます。
コントラファゴットは何度も折り返す構造から、他の木管楽器のような分解がしづらい構造です。U字管の長い管を抜くには、2つのジョイントを同時に抜く必要があり、従来のコルクや糸巻きのジョイントでは困難だったはずです。
これが写真を見ると楽器ケースやスーツケースなどのような引っ掛けるフックによって解決しているようです。しかもその接続部が適切な具合になるようにネジで調整できるようになっています。
分割位置については、楽器下部のキーが少なく複雑でない部分で分割するようになっています。下部ジョイントにはLowD、LowE、F#、LowF(、Ab?)の各キーがあり、本体から連結しています。もし従来固定されている楽器中央のジョイント(この楽器にはない)で分割するともっと複雑なキーのジョイント間連結が必要になり、今回の設計は絶妙な位置といえます。
またベルも分割できるようになっています。これも少しでもケースへの収納をコンパクトにしようという心意気が感じられます。組み立て時にも好みの向きに設定することができます。
ケースについては写真を見ると幅は約1mと思われます。本体を斜めに収納することでよりコンパクトにしています。その分奥行きが少し長くなりますがそれほどマイナス影響はないと思います。ジョイント分割により扱いやすい形状のケースになっています。
おわりに
Wolf社から下部をジョイント分割できるコントラファゴットの改良型が登場しました。
かつては大きい、重たい、扱いづらいというイメージがあったコントラファゴットですが、そのイメージが覆るモデルなのではないでしょうか。近年は軽量のケースやスタンドも登場し、コントラファゴットはどんどん扱いやすい楽器に進化しています。思えばLow-AモデルもLow-Bbモデルと同じ高さで折り返す楽器を見かけるようになりました。
今回の進化を歓迎し、コントラファゴットがさらに扱いやすい楽器になっていく事を願います。