【櫻坂46】2ndシングル「BAN」とカップリング曲まとめ
欅坂46から改名して「Nobody's fault」でデビューした櫻坂46。その2ndシングルが4/14に発売されます。表題曲「BAN」とその他の収録曲について、その内容と個人的感想をまとめます。
※4/23画像追加 SHIBUYA TSUTAYA等でのパネル展示の写真を追加しました。
・SHIBUYA TSUTAYAパネル展示より
【関連】
BAN
【種別・収録】表題曲、全Typeに収録
【センター】森田ひかる
【歌唱メンバー】小池美波、小林由依、菅井友香、渡邉理佐、田村保乃、藤吉夏鈴、森田ひかる、山﨑天(以上櫻エイト)、土生瑞穂、渡辺梨加、井上梨名、大園玲、松田里奈、守屋麗奈
サウンド
森田ひかるセンターの表題曲「BAN」は3/8深夜(3/9)の「レコメン」で解禁されました。
クリアなギターで始まるアップテンポでカッコいい系の曲。全体的に疾走感のある曲調で畳みかけるような早口の歌詞が続きます。合間には「Hey!」の掛け声が入ります。
その雰囲気はずっしり歩んでいくテンポのNobody's faultとは大きく異なり、欅坂46にもなかったタイプで斬新に感じます。
歌の内容
歌詞からイメージしたのは大学生や若い社会人のありがちな怠惰な人間らしさ、その現実と理想の狭間にありアンバランスな心の叫びの雰囲気。迷いながらも開き直り信念を持って突き進んでいくしかないというエネルギーを感じられます。
若い世代にはリアリティがあって共感できる内容だと思います。Nobody's faultよりもより具体的な内容で、反抗的な感じがやはりどこか欅坂46のエッセンスを感じさせます。少なくとも表題曲はそういう方向性なのでしょう。
ミュージックビデオ
【追記】3/17 MVが公開されました。
■櫻坂46 『BAN』(櫻坂46公式)
https://www.youtube.com/watch?v=fPZ37t3nvco
※MV撮影場所は淡路夢舞台国際会議場
予想通りとても激しく勢いのあるダンスでした。メンバーが言っていたようにバトルのような(特ににアジア系の)雰囲気も感じられます。曲だけ聴いた印象とは違い力強くエネルギッシュです。
衣装は2種類あり、白・ネイビーの衣装と白地にカラフルな衣装です。なぜ恋の衣装や、スカートを激しく振る振り付けはノバフォを彷彿とさせます。歩きながらの映し方や塊感はアンビバレントのMVに近いものを感じます。1人1人が良く映り、そのビジュアルの高さを実感させます。
大サビ前の森田のジャンプはノバフォ同様に存在しており今後定番になるのでしょうか。森田の強い目つきや表情、フラフラした場面はどこか不協和音を思い起こさせます。各メンバーの激しいダンスや表現の魅せ方は欅坂46、櫻坂46の経験があってこそと感じさせられます。
図らずも個人的に欅坂46や櫻坂46の要素を色々感じる見方をしましたが、加藤ヒデジン監督の言葉を読むことで理解が深まります。
櫻坂46「BAN」監督しました。
— 加藤ヒデジン / 映像D (@hidejin_0) March 17, 2021
欅を経験した彼女たちの全身全霊を、ここに込めています。櫻のパフォーマンスから伝わるのは、必ず立ち上がり前を向くという希望。だからこそ“僕”と同時に、そこに重なる彼女たち自身の物語を表現すべきじゃないかと思いました。https://t.co/2zlNYuHkJf pic.twitter.com/NCy1lEV6BH
リプライの追記から抜粋:
欅を経た櫻がある
「僕」を演じるだけではなく自分自身の魅力を輝かせてほしい
去年から今年にかけて大変な世の中で、その鬱屈さはグループの過去とも通じ
内に溜め込み絶望を身代わりしていた欅の僕像から、希望を開放して外へ強く出ようとする櫻像
引用:https://twitter.com/hidejin_0/status/1372039624214777861?ref_src=twsrc%5Etfw
欅坂46からの流れを汲みつつ「希望」という新しいグループ像への込められた想い。メッセージ性に乗せて個人個人を体現するという魅力的な本質は引き継がれているようです。本作品で櫻坂46の方向性が見えてきた気がします。
今後TV番組等でどのようにパフォーマンスされるか、そしてノバフォ同様に回を重ねるごとにどのようにどう成長していくのか楽しみです。ライブができるようになった時にもメンバーもファンもかなり熱くなりそうです。
パネル展示の写真
【追加】SHIBUYA TSUTAYAでのパネル展示
偶然の答え
【種別・収録】カップリング曲、全Typeに収録
【センター】藤吉夏鈴
【歌唱メンバー】小池美波、小林由依、菅井友香、渡邉理佐、田村保乃、藤吉夏鈴、森田ひかる、山﨑天(以上櫻エイト)、上村莉菜、尾関梨香、原田葵、関有美子、武元唯衣
サウンド
藤吉夏鈴センター曲「偶然の答え」は3/14の「こち星」で公開されました。綺麗なサウンドで爽やかな雰囲気が心地よい恋愛系の曲でした。
1stシングルも藤吉曲は恋愛曲(「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」「Plastic regret」)でありそれを引き継ぎ方向づけているように思えます(ただ藤吉は恋愛ではない解釈を見つけたと言っています)。
今回もソロパートが多くて、1人1人の歌声を聴くことができます。
歌の内容
歌詞を聴いてみるとスペイン坂、センター街などのが出てきて舞台は渋谷で、そこで偶然出会った二人の内容です。
全体的にアイドルの定番的な内容で、ストレートに恋愛の心情を歌うその内容は欅坂46ではあまり歌ってこなかった系統です。歌詞の主人公のキャラクターは「なぜ恋」「プラリグ」ともまた異なり、多彩な恋愛ソングを歌っていくのかもしれません。
恋愛曲とはいえアイドルらしい明るさというよりはどこか切ない雰囲気があり、「二人セゾン」に近い雰囲気に思えます。サウンドに大きなインパクトはありませんが、初々しくも切ない青春感が良い雰囲気で心地よい曲です。どこか暖かい春らしさも感じられます。
ミュージックビデオ
【追記】3/23 MVが公開されました。
■櫻坂46 『偶然の答え』(櫻坂46公式)
https://www.youtube.com/watch?v=_ZCf_iLMwn0
※MV撮影場所は渋谷、守谷、足利西高校
MVを観ると冒頭で藤吉が呼ぶ「りこ、好きなの」、先日卒業した松平璃子を思い出さずにはいられません。そして「私も好きだよ」「そういうんじゃなくて」と続きます。(相手役はSeventeen専属モデルの永瀬莉子さん)
MVを踏まえて再度歌詞を見てみると、渋谷で偶然再開したのはお互いに女性だったとも解釈できます。歌詞で表された恋愛の心情は同性愛だったのでしょうか?MVを観て一気にイメージが変わりました。
しかし一人称は「僕」となっています。欅坂46時代を含め主人公を「僕」と称して表現しているし深い意味はないかもしれませんが、どちらにも捉えられることはLGBTにも対応した曲という見方もできます。
正解は分かりませんが様々な解釈ができる巧みなMVです。欅坂46を経ているからこそそういう見方ができるのかもしれません。ドラマ仕立てのストーリーで藤吉の笑顔から切ない表情への変化も印象的です。どういう解釈、想いでパフォーマンスしたのでしょうか。
「愛する感情の素晴らしさ」の表現、それが性に拘らないとしても清々しい後味。このMVを観て藤吉チームは『アイドルソングに見せかけた「表現者」』という気がしました。まさに欅坂46を経ている櫻坂46だからこそできる奥深い魅力的なものです。
パネル展示の写真
【追加】SHIBUYA TSUTAYAでのパネル展示
思ったよりも寂しくない
【種別・収録】カップリング曲、Type-Dに収録
【センター】山﨑天
【歌唱メンバー】小池美波、小林由依、菅井友香、渡邉理佐、田村保乃、藤吉夏鈴、森田ひかる、山﨑天(以上櫻エイト)、齋藤冬優花、守屋茜、遠藤光莉、大沼晶保、幸阪茉里乃、増本綺良
サウンド
山﨑天センター曲「思ったよりも寂しくない」は3/22深夜(3/23)の「レコメン!」で解禁されました。
イントロはカントリー風の軽快なギターと口笛で始まります(アウトロも同様)。一番の特徴はラップが入ることです。歌の音域も比較的高く、オクターヴで重ねている部分もあります。
歌の内容
歌詞を見ると、周りで見守っている誰かのふとした優しさが支えになって「思ったよりも寂しくない」、そして前に進んで行こうという温かく前向きな雰囲気が感じられる曲です。
こじつけかもしれませんが最近感じるメンバーの山﨑に対する「もっと甘えていいんだよ」感と、中学を卒業する山﨑の背中を押す曲のような気がします。
山﨑のラップはカッコ良く決めて新たな一面を見せました。小林、理佐もラップがあります。欅坂46時代を含め今までになかったタイプの曲で、櫻坂46の「多彩な色に染まれるグループ」としての1つの色を示した挑戦となる曲です。
ミュージックビデオ
【追記】3/31 MVが公開されました。
■櫻坂46 『思ったよりも寂しくない』(櫻坂46公式)
https://www.youtube.com/watch?v=D0W44Z3D3wo
※MV撮影場所は三保飛行場
MVではメンバー達の自然な笑顔や振る舞いが見られて楽しそうな雰囲気が伝わってきます。何かに捉われることなくとてもリラックスした感じで爽やかです。思えば1stシングルの山﨑センター曲「Buddies」もそういう感じでした。
海に近い滑走路に様々な物が配置された雰囲気は、どこか欅坂46の幻の9thシングル「10月のプールに飛び込んだ」のMV撮影風景(ドキュメンタリー映画「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」で少し観られる)に通じるものを感じました。
最後に山﨑が扉を開いてみんなが歩いて行く、楽しそうに撮っていたビデオカメラも置いて。楽しい思い出が物理的に残らなくても心の中に支えとして残り、強くなって前に進んで行こうというメッセージのようにも感じられます。
パネル展示の写真
【追加】SHIBUYA TSUTAYA、HMV&BOOKS SHIBUYAでのパネル展示
君と僕と洗濯物
【種別・収録】カップリング曲、Type-Bに収録
【センター】森田ひかる
【歌唱メンバー】小池美波、小林由依、菅井友香、渡邉理佐、田村保乃、藤吉夏鈴、森田ひかる、山﨑天(以上櫻エイト)、土生瑞穂、渡辺梨加、井上梨名、大園玲、松田里奈、守屋麗奈
サウンド
森田ひかるセンター曲「君と僕と洗濯物」は3/28の「こち星」で解禁されました。
まるで「部屋とワイシャツと私」を連想させる曲名ですね。聴いてみると生活感のある日常の雰囲気の中で、恋を期待する心情を爽やかに描いた曲でした。
歌の内容
歌詞は恋愛がテーマの王道アイドルソングという印象で、AKB48が歌っても違和感がない感じがしました。もちろん欅坂46の基本カラーとしては考えられなかった系統、しいていうなら歌詞はユニット「青空とMARRY」の曲に近いです。
欅坂46、櫻坂46通して最も可愛らしい素朴で純粋な曲という印象です。音域が高めで明るい声質ということもあり春らしい爽やかさがあります。
冒頭の森田ひかるソロは可愛い歌声で、「Noboy's fault」の強い意志を持ったイメージとはまるで別人です。全員で歌うサビの声質や歌い方はAKB48のようなイメージを持ちました。
この曲は1つのカラーとして思い切りアイドル的なイメージにしたのでしょう。賛否あるかもしれませんが、櫻坂46の楽曲の振り幅の広さを感じさせられます。
Microscope
【種別・収録】カップリング曲、Type-Cに収録
【センター】藤吉夏鈴
【歌唱メンバー】小池美波、小林由依、菅井友香、渡邉理佐、田村保乃、藤吉夏鈴、森田ひかる、山﨑天(以上櫻エイト)、上村莉菜、尾関梨香、原田葵、関有美子、武元唯衣
サウンド
藤吉夏鈴センター曲「Microscope」は4/9の「SCHOOL OF LOCK!教育委員会」で解禁されました。タイトルの「マイクロスコープ」の意味は歌詞にも出てきますが「顕微鏡」という意味です。
リズムは終始3連符を基調としていています(もしくは8分の12拍子)。終始「タッタタッタ」のリズムが心地良く、これは欅坂46のユニット曲「バレエと少年」と同じリズムです。調べたら作曲者達の中に同じ方(中村泰輔氏)がいて関係あるかもしれません。
印象的な「マイクロ!スコープ!」の掛け声と共にリズムの連打で始まります。乗りやすいリズミカルで明るい曲調で、藤吉曲らしく恋愛について歌います。
歌の内容
歌詞は恋心を顕微鏡で観察する事になぞらえた、可愛らしい爽やかな恋心の曲となっています。学校の雰囲気が目に浮かび、「偶然の答え」と比べると素直で明るい雰囲気です。
欅坂46時代の曲と比べるととてもアイドルらしい雰囲気の歌です。内容も前述の「バレエと少年」と通じるものはありますが、櫻坂46の曲としてもまた新しい色の曲です。
乗りの良いリズムや「マイクロ!スコープ!」の掛け声は、ライブで楽しく盛り上がる雰囲気が想像できます。そして少なくとも表面的には「藤吉センター曲は恋愛曲」がより鮮明になりました。
それが愛なのね
【種別・収録】カップリング曲、Type-Aに収録
【センター】山﨑天
【歌唱メンバー】小池美波、小林由依、菅井友香、渡邉理佐、田村保乃、藤吉夏鈴、森田ひかる、山﨑天(以上櫻エイト)、齋藤冬優花、守屋茜、遠藤光莉、大沼晶保、幸阪茉里乃、増本綺良
サウンド
山﨑天センター曲「それが愛なのね」は4/13の「レコメン!」で解禁されました。サウンドは終始賑やかなファンキーでちょっと懐かしい歌謡曲感、80年代~90年代風といった感じです。
※調べたらイントロはTRFの"Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~"にそっくりです。
歌い方は音程がゆっくり上がる伸ばし、「フゥ~!(下がる)」、合いの手のコーラスの多用、少し色気のある声色の感じはモーニング娘。の雰囲気に近い気がしました。
歌の内容
歌詞の主人公は女性で、一見ダメに思える男に対して放っておけずに好意を持つような内容です。少し大人な女性が年下の男性を誘っているような印象を受けます。
ちょっと懐かしい癖になるディスコサウンドに当時をイメージさせる積極的な女性像、それを中学を卒業したばかりの最年少の山﨑天がセンターというのはかえって新しいです。
色々調べると聞き手によってイメージした年代に幅があるようですが、個人的には初期のハロプロ感、特にモーニング娘。をイメージさせる曲に思いました。
またしても「こういう曲もやるんだ」と驚かせてくれた曲となりました。世代によっては懐かしくてより刺さる曲でしょう。アイドルとして幅を広げていこうという戦略が感じられます。
櫻坂の詩
【種別・収録】カップリング曲、通常版に収録
【歌唱メンバー】全員
サウンド
「櫻坂の詩」は1stシングルの発売前日、2020年12月8日(火)の「デビューカウントダウンライブ!!」で初披露されています。
欅坂46の「W-KEYAKIZAKAの詩」のようにグループの代表曲となる歌です。そんな曲は今まで数少ない3拍子の曲で、体をゆっくり左右に振りたくなるような曲調です。
歌の内容
欅坂46から改名するに至った様々な苦悩、コロナ禍で思うように活動できない苦悩など、現在の櫻坂46の状況とリンクするような歌詞に思えて感動的です。
どこか寂し気な歌詞の部分はメンバー達が経験してきた様々な悲しみや辛さに寄り添うものです。聴く側に寄り添い勇気づける側だったメンバー達も感じるものがあるはずです。
「僕ら」はファン達だったりメンバー達だったりするのかもしれません。お互いに無力さを感じつつも、どんな状況でもグループを見守っているんだという温かさ、絆を感じられます。
「野ざらしのその枝に~」は二人セゾンの絶妙な表現である「花のない桜を見上げて~」とも通じる内容になっています。
そして桜は毎年必ず満開になる時が来る。グループ名の「櫻」になぞらえてそんな希望を感じさせてくれる、温かくて優しい歌で本当に良い曲です。
現場のライブが再開された時には様々な想いが混ざり合ってとても感動的な状況になることが想像できます。その時は我慢せず会場を涙の花で満開にしましょう。
終わりに
2ndシングルの収録曲について個人的な感想と共にまとめました(思ってたより力作になりました)。
それぞれの曲を短く表すとこんな感じです。
- 【BAN】若い世代にリアリティのある「追放された人の叫び」のメッセージソング
- 【偶然の答え】定番の恋愛ソングに見せかけた様々な愛の形を表現した曲
- 【思ったよりも寂しくない】メンバー達の自然な笑顔や振る舞いが見られる
- 【君と僕と洗濯物】生活感のある爽やかな王道恋愛アイドルソング
- 【Microscope】恋心を顕微鏡観察になぞらえた可愛らしい恋心の歌
- 【それが愛なのね】懐かしい歌謡サウンドで大人な女性目線の曲
- 【櫻坂の詩】グループの状況に寄り添い希望を歌う
今回も1つ1つの曲が方向性やテーマが異なる多彩なものとなりました。「何色にでも染まれるグループ」として様々な表現への挑戦が見て取れます。
1stシングルは改名したばかりでしたが、2ndシングルで櫻坂46としてのカラーがより鮮明になってきました。勢いづいたグループがこれからもどんな色を見せてくれるのかワクワクさせられます。
・SHIBUYA TSUTAYAでのパネル展示
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