コロナ禍で見出した音楽活動について ~ 多重録音への挑戦とその意義
ファゴットで豊かに生きてる人間としてコロナ禍における音楽活動について、その現状と現在挑戦していることについて書きます。
コロナ禍の音楽業界
新型コロナウイルス蔓延の影響で今年(2020年)は音楽業界も大打撃を受けています。管弦楽、吹奏楽は演奏会どころか練習自体が開催できない期間もあり、悩ましい日々が続いてきました。
密を避け換気が必要ですが、合奏は人が密集して行うものであり、音が漏れないように部屋を閉じる事が基本です。飛沫対策でもマスクが有効ですが、弦楽器や打楽器はマスクをしながら演奏できますが、管楽器はマスクできず、息により気流が発生します。マウスピースだけで吹いたり水を抜いたりする時も含め、最も気を付けないといけない種類の楽器です。
・かつての合奏の様子
まだ収まっていないとはいえ様々な対策をした上で、徐々に再開の動きが活発になってきた気がします。自分の知る範囲でも以下の対策を徹底した上で活動をしている例があります。
- 施設に出席者の氏名・住所・連絡先を提出する
- 会場に入る前に手の除菌をする
- セッティングを通常以上に離す
- 定期的に換気をする
- 会話はマスクをした上で最低限にする
- 人の物を共有したり触れたりしない
- 食事の時は会話禁止
- 練習後の飲み会等を禁止
今まで「当たり前」のようにできていた音楽活動ができないもどかしさを感じると共に、それが「当たり前」ではなく恵まれていたことだったと感じさせられます。
自分への影響と発見
自分自身も今年は大きな影響を受けています。多い年は年間で20回演奏会に出ていたぐらいですが、今年はコロナ蔓延前の1月の1回と、配信演奏会の1回で合計2回のみです。ファゴットを始めてから最も演奏会が少ない年となってしまいました。
今年は諸事情により所属団体を退団しました。例年エキストラ出演させて頂いている団体もほとんどの演奏会が中止になりました。呼ばれたとしても現状の活動のリスクを、家族が神経質になっている現状もあります。その結果、家で個人練習をすることが基本となりました。家で音出しができる楽器、環境であったのがせめてもの幸いです。
・ホールでの演奏が遠のいた年
ただ演奏会がないと目標がなく、どうしても練習に身が入りません。正直に言うとエチュードがあまり好きでないということもあります。ワイセンボーンは何年開いてないことか…。
そんな時、YouTube等で多重録音の演奏を視聴して思い立ちました。多重録音であれば1人でできる!ファゴットアンサンブルの譜面も10曲ぐらい持っているし、自分でアレンジした作品もいくつもある。これはチャンスだと思い、当面の活動の主軸とすることにしました。
多重録音に挑戦
今までの演奏経験や編曲の経験を活用し、ファゴットアンサンブルの多重録音のための準備をどんどん進めています。実際にやってみると編曲技術、演奏技術、録音環境、編集技術など様々な課題が見つかり、なかなか円滑には進まず時間がかかってしまっています。ですが1つ1つ調べたり調整したりして課題を解決し、着実に前進しています。
・ファゴット五重奏を基本に進めています
演奏内容はクラシックばかりではないため、ポピュラー、ジャズ系の本も読んで勉強しています。合奏よりアンサンブルやソロが技術・意識向上に有効とは思っていましたが、こういう活動も同様に自分の主体性を向上させてくれるように感じています。
参考までに、ファゴットアンサンブルのサウンドは次の動画のような感じです。意外にもジャズ系の曲も良く合います。
■DONNA LEE - Camaleon Bassoon
■'DONNA LEE' - CAMALEON BASSOONS
https://www.youtube.com/watch?v=OuMlggPvjPk
必要に迫られて様々な実践や勉強をすることで、音楽の幅をより広げるチャンスにもなっています。慎重な性格ということもあり、まだまだ形になるには時間がかかりますが、有意義な時間で楽しんでやっています。形になりましたら順次紹介していきます。
↓下記チャンネルにアップしていきます。現時点ではまだサリュソフォーンを吹いた動画ぐらいしかない状態です。
終わりに
ピンチはチャンスという言葉があります。合奏ができないからといってこのまま立ち止まっているわけにはいきません。視点を変えて、今の環境でも自分ができることがあることを発見させてくれました。
多重録音という新しい挑戦には様々な課題も出てきていますが、最初から諦めず意欲的に、まずはできるところまでを突き詰めていきます。それは必ず自分の糧になると信じています。
・パワーアップしてステージに戻ってきます