ファゴットをシングルリードで?!珍品ファゴット用マウスピースを吹いてみた

日時:2019/05/30(木) 18:30     カテゴリ:MUSIC

ファゴットといえばダブルリードの楽器ですが、実はファゴット用のシングルリードのマウスピースが存在します。Runyonというメーカーが出していて、他にサックスのマウスピースのラインナップを見かけます。日本では直接販売していませんが、海外の販売サイト等で見かけます。

このマウスピースは過去に知人が購入したものを買い取らせてもらう形で入手しました。当初は面白がって吹いていましたが近年全然吹いていませんでした。これについてツイッターに上げたらかなり反響があったのでまとめることにしました。

ファゴット用シングルリードマウスピースとは?


こんな形のマウスピースです。

・ファゴット用シングルリードマウスピース
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リードはファゴットのリードサイズに合わせてかエスクラかソプラニーノサックスという音域に対してかなり小型のものに対応しています。そのためマウスピース自体はサックスのものと比べるとかなり細身です。根元はボーカル口に対して広めになっていてグラグラして音も安定しないので、クリーニングペーパーを挟んで微調整してフィットさせています。キャップも付属しています。

吹いた感想


ファゴットに装着するとこんな感じになります。大きいので存在感があります。

・ファゴット用シングルリードとダブルリードの比較
ファゴット用シングルリードマウスピースをダブルリードの比較ファゴット用シングルリードマウスピースをダブルリードの比較
・ファゴット用シングルリードマウスピース
ファゴット用シングルリードマウスピースファゴット用シングルリードマウスピース
吹き心地としては、シングルリード特有の唇をがっちり固める感じになり、口に力が入ります。そのためかダブルリードほどスムーズではなく少し詰まった感じがします。息は結構沢山入るので音圧がかけられ、大きな音量が出せる感覚は新鮮でした。これは開きがダブルリードより大きくて固定されてるからでしょう。あとこれは慣れかもしれませんが、弱音の繊細なアタックはコントロールが難しいです。シングルリードとしては管の長さに対して小型であり微振動が起こしづらいのかもしれません。

音色はテナーサックスに近づいたような感じです。リードが薄いためか特に強く吹くと明るいギラギラした成分が多くなり、ファゴットの柔らかさは確かにあるものの少し硬い音色というか、サックスのようなもっと強い主観的な音になります。発音のニュアンスはサックスに近く、ジャズなどで使われるベンド(音程をしゃくりあげる)の奏法もできます。スタッカートはファゴット特有の「ポッ」ではなく、サックスに近い「ペッ」というニュアンスになり、少し雑な発音ができます。

問題点として、中音Eの音程が低くなります。これはシングルリードとダブルリードの削り方の違いで、先端の薄い部分が広いことが原因だと思います。ファゴットのリードでも先端が薄いリードでEが下がるものがありますが、これと同じ状態なのだと思います(その場合先端をカットして相対的に厚くしますね)。

またこれを吹いて思うのは、ダブルリードはリード自身から発する音の成分があるということ。シングルリードは振動がほとんど管の中に入るので、少し遠くで鳴ってる感じがします。これがシングルリードとダブルリードの音色や響きの違いの要素の1つなのかなと思いました。

↓こちらの方が動画を上げているので音が聴けます。

■Bassoon Single Reed Mouthpiece Demo


根元の口が広いのでコントラファゴットにも使えるようですね。

考察


ファゴットでありながらどこかサックスに近いニュアンスの音色、発音になり、本来のダブルリードとはキャラクターが変わることが分かりました。面白いアイテムですが、単にダブルリードの代用として吹くには、シングルリードに慣れる必要があるのとファゴットとしての音色などの性格が失われるので適していないと思います。中音Eの音程が取れない問題も致命的です。シングルリードは安価で便利ですが、やはりファゴットはダブルリードであるべきです。

実際に使うとしたらどのような用途になるか。例えばマーチングなどの動きを伴う場合はダブルリードよりもアンブシュアが固定できて安定するので良いのかもしれません。また伝統的な音楽とは異なる新たな試み、特に現代音楽やジャズ系で利用する余地はあるのかもしれません。

終わりに


ファゴット用のシングルリードマウスピースを試しました。キャラクターがサックス風に変わるのは面白いですが、ファゴットがファゴットであるためには管本体も大事ですがダブルリードでないといけないということも実感しました。シングルリードの方が入手しやすいし大きな音量が出せるのが良いかというと、それは便利な道具でしかなく、長い歴史で培われた楽器本来の個性を失うことになります。ファゴット吹きとしてもファゴットを多角的に理解するのに役立つアイテムだったと思います。

【関連】Runyon bassoon mouthpiece (amazone.co.uk)





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