【演奏荷物改善】(7) KFgスタンド用キャリーカートの整備・完成
腰痛をきっかけに始めた演奏荷物改善の連載、前々回からコントラファゴットのスタンドの持参方法について検証を進め、1つの完成形にたどりつきました。
はじめに
コントラファゴットのスタンドを身体への負担少なく持参する方法として、前回のブログでキャリーカートを使うことが決まり製品を購入しました。
【前回のブログ】
・購入したキャリーカート
今回はそこにスタンドを収納するためのセッティング方法について検証していきます。コントラファゴットや他の大型楽器だったり、腰痛に悩む方にも何か参考になりましたら幸いです。
前提条件
※ここではコントラファゴットを"KFg"(ドイツ語)と略記します。
使用するKFgスタンドはFOX製の旧タイプで重さ約1.9kgでコンパクト軽量なタイプです。
写真のように3つのパーツに分割することができ、それぞれネジで留める場所があり、全体で1つにまとめることもできます。
・KFgスタンドの各パーツ
※図示した(A),(B),(C)を記事内で表記して使います。
全てをくっつけるとこの写真に近い位置関係でまとまった状態になります。コンパクト軽量なのは良いですが、細長くて長さがありつつ平べったい形状バランスになり、倒れやすかったりして扱いづらい形状なのが難点です。
トートバッグやナップサックに入れていましたが、腰痛対策として前回紹介したキャリーカートに載せるセッティングを調整していきます。
載せるボックスの準備
キャリーカートに直接スタンドを載せるには荷台部分がスカスカなので、100均で購入した透明のボックスを荷台に乗せてその上にスタンドを置くことにしました。
(A)は仮称「L字パーツ」、(B)は「脚パーツ」で、両者をネジで固定することができます。左右重心を考えると別々にして(B)を(A)のL字型支柱と反対側に置いた方が良さそうですが、体裁が悪いことと(B)の固定に手間がかかるため、一体化した状態で収納することにしました。
(A)+(B)が縦に長くて倒れやすいため、プラダン(プラスチック段ボール)に沿わせることにしました。
(C)の「楽器支えパーツ」)については、ボックスの中の短辺方向の反対側に置いてみました。その隙間に100均などのプラスチックの小箱で(固定せずに)埋めたらうまくフィットし、意外と重心バランスが取れて各パーツが自立しましたこれを元に微調整していきます。
固定のため荷締めベルトを仮に巻きましたが仮状態で、後に微調整で変更することになります。
・ここまでを反映した状態
外ボックスは上ほど開いた形状であるため、プラダンは少し浮かすために「戸当たり防音テープ」(シール付きのウレタン)を重ねて貼り付け、(A)+(B)を少し内側に傾かせて垂直に近づけることにしました。これで少し安定感が増しました。
・防音テープで角度調整
中身はほぼ動かずにある程度安定して立つようになりました。これでボックス一式は約400gという軽量な範囲に収まりました。結果的に全体的に透明で統一されたのも良い感じです。
中の小箱は置くだけ固定せず隙間を埋めるようにして、位置を決めたり作り込む手間がなくシンプルに済みました。
全体を段ボール箱に入れることも検討していましたが、KFgスタンドを出し入れする時の手間が少なくできた事も良かったです。
・ボックス内
あとはこれをキャリーカートに載せてみます。
キャリーカートに載せる調整
ボックスを載せてみる
注文したカートが届きました。郵便物として手にして最初に思ったのは「軽い」、腰痛対策には軽さが重要なので期待が高まります。
少しだけ素材の初期臭があるけど数日で落ち着くと思うので我慢します。以前ボツにした緑のバッグ型キャリーカートよりは大分ましです。
サイズ感とか色々イメージした通りです。安価かつ軽量な製品のため造りは多少安っぽいけど本件利用には十分です。
それでは配置を作り込んだ透明ボックスを荷台に置いてみます。まずは固定しない状態です。こんな感じになりました。
・ボックスをカートに置く
荷台の奥行きは半分ぐらいで済むのはイメージ通りだし良いでしょう。もっと狭い荷台も検討しましたが、このぐらいなら軽量優先で良かったと思います。
荷台はスカスカな構造だしボックスがある方が扱いやすいと改めて感じました。
KFgスタンドの形状から左右重心バランスが悪いので一方に寄せる感じになるかも?(後述:結果的に気にならなかった)スタンドが倒れ込まないかも気になるところです。
重さをまとめると、
キャリーカート800g+ボックスセット400g+スタンド1900g=3100g(3.1kg)
耐荷重は20kgなので余裕です。
積載物が露出するし雨対策としてレインカバーも後で検討します。
ボックスを固定する方法を検証
・カートの強度
このキャリーカート自身について検証すると、折り畳み構造部がプラスチックでちょっと弱いと感じました。特に固定ロープを荷台側に被せるように取り付けると閉じようとする方向に力が加わり、カートが閉じる方向に傾いてしまいます。
従って、そのロープを使って荷物を上から覆う固定方法はやめた方が良いと分かりました。軽量と低価格優先のため仕方ないので工夫で乗り切ります。
・ボックスを荷台に乗せてみる
カートについてる2つのロープでボックスの支柱側の側面の穴に通してとめました。意外とこれだけでもある程度固定できています。
・2つのロープで固定(後述 ※1のテープも貼ってある状態)
ただボックスが引っ張られる感じになります。車輪部分が荷台スペースに食い込む関係でボックスの上ほど支柱から離れるためです。
そしてスタンドが支柱にぶつかる問題があることも気付きました。
・ボックス引っ張られ問題
ボックス背面の上部に厚みのあるテープ(以前買った「戸当たり防音テープ」※1)を重ねて貼ったところ引っ張られにくくなりました。
・防音テープを重ねて引っ張られを緩和
ただ後に実際に使ってみて外れてしまったので、結局無しにしました。横に大きく傾けるとずれるので一応横向きにも留める予定です。
後に、2本の支柱と透明ボックスを巻き付ける荷締めベルトを追加して、横方向にも安定しました。(後述 ※2)
・スタンドが支柱にぶつかる問題
ボックスの内側のプラダンの厚みを増しても、スタンドが動く範囲で可動してぶつかりそうなので、プラダンをもっと高い45cmのものに交換しました。さらに元の底上げテープもさらに厚くして距離をとりました。
しかしまだ、支柱にぶつかる音がします。そこで、別用途で買った未使用だった5㎝ホイール用のホイールカバー(裏にシール付き、カットして使う)を使う大きさにカットして、支柱に複数個所付けたら音がしなくなりました。
・支柱にホイールカバーを付けた、(A)と(B)とでは高さが異なる
・(A)の底補強パーツ脱着を省略したい
L字パーツ(A)の角部分はネジが飛び出ている関係で独自に段ボールで作った補強パーツを付けて太いゴムで巻いていました。この脱着作業のために腰をかがめることを防ぎたいと思いました。
そこでボックスの底の該当箇所に、(A)下部のネジが浮き上がるように上げ底的に厚いテープ重ねました。一応ネジの下に来るボックスの底部分にも薄いプラダンを敷きました。
・ネジを浮かせる構造
・(A)を載せた状態
これで(A)をそのまま載せたり取ったりすればよいので楽になりました。
そして譜面台を載せることで、さらに隙間を埋めると共に(A)+(B)の横の小箱の重しになって、ボックス内がより固定されます。
・譜面台も隙間パーツ&重しの1つ
これらの調整でなんとかうまく載せることができました。現物合わせで色々考えながらの作業でしたがうまくいって良かったです。あとはさらに補強を検討していきます。
(この作業は腰に負担をかけた…今だけなので我慢)
・現状の装備の出し入れイメージ
AとBをくっつける ※補強段ボールは不要
A&BとC入れる(まだA&Bは倒れる)
右側に小箱を2つ重ねて載せる(A&B、Cが左側を除き概ね固定される)
譜面台を載せる(上の箱が固定される、全パーツが概ね固定される)
【追記】(※2)1回実使用して背面の「戸当たり防音テープ」が外れてしまったのとボックスがずれやすかったので、テープは無しにした上で荷締ベルトを2つ追加しました。
・ボックスと支柱を巻き付け、(見えずらいですが)荷台とボックスも固定
・2本の支柱にループしてずれにくくした
これでボックスががっちり固定され、かなり安定したので完成形としました。
小物入れバッグを追加
ナップサックから代わるとコンビニ飯などの小荷物を入れる所がなくなるのが気になります。荷台側に乗せることも可能ではありますが、腰を下ろすことは避けたいです。
何か良い製品がないか探してみました。キャリーケース用のカップホルダーや、ドリンクホルダー(荷物の上に載せる)みたいなのはありました。ただ荷物の上に置く方式のため上の持ち手部分で固定できず、下に落ちてしまうのが難点です。
ポケットがあれば良いわけで、自転車用フロントバッグも構造的に近いと思いました。上に2つ(+横に1)留める所がありぶら下げる構造です。軽いものでは30gのバッグがありました。横16~18cm、縦25.8cm、十分大きさがあります。約500円で安いし無難なブラックにして注文しました。
持ち手に緩衝素材を巻きました。CanDoのペットボトルショルダー用のものですが幅がぴったりでした。そして自転車用フロントバッグをぶら下げました。こちらも両端にあるぶら下げる部分が持ち手の幅にぴったり、両方ともシンデレラフィットというやつです。
・持ち手とバッグ追加
ちなみに走行音や汚れ対策でキャスターカバーも検討しましたが、直径8cmのサイズだとあまり見つからずダブルキャスター用が多くて使えません。値段も安くないので保留にしました。
完成!
長々と書いてきましたが、これでキャリーカートの整備が完了しました!全体的になかなか機能的になって良い感じです!
・完成品
載せた時の重さはおおまかに
キャリーカート800g+ボックスセット400g+スタンド1900g+譜面台700g=3800g(3.8kg)+α
約4kgぐらいで収まりました。体感としてもそれほど重くないです。
おわりに
かなり長文になってしまいましたが、ここまでキャリーカートにKFgスタンドを快適に載せるためのセッティングの試行錯誤について書きました。
現物合わせで調整するために結構頭を使ったし必要な様々な製品を探したりして苦労しましたが、その一連の作業自体を楽しみました。
各素材が軽量かつ安価で済んでいる事もポイントです。こういう作業は愛着が湧くし、達成感でいっぱいです。
同じように腰痛の人や、特に大型楽器で演奏関係の荷物の重さに悩んでいる方に何かの参考になりましたら幸いです。
(第7弾・終)
◆次回はキャリーカートを実際に使った所感をまとめます。先に結論を書くとなかなか良い感じでした。
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※近日更新予定。
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