【動画紹介】「コントラファゴットの変身」 ~ 熟練された技術力・魅力的な姿に
コントラファゴットを大きく変身させた貴重な動画群を見つけました。
動画のUP主は"Double Reed Ltd"(https://www.doublereed.co.uk/)、イギリスのダブルリード楽器を扱う会社のようです。
動画は3つあり、依頼主の要望に応えて作業をしていく内容です。順に観ていきましょう。
動画1
■Contrabassoon Transformation - Part 1!
背の高いLowAの楽器のようですが、おそらくメーニッヒの旧タイプと思われます。
ソノーラやアドラーの旧タイプにも同様の形状の楽器がありますが、これは「トップジョイント」(LowC#キーから上)が分解できないタイプで、ケースがより長くなっています。近年の楽器と比べても替え指キーも少ないです。
依頼主の要望として書かれているのが、
- 金メッキにする
- 赤色からnatural wood finishにする
- トップジョイントを分割可能にする
- キーワークとローラーをアップグレード
これは通常のオーバーホール以上の大調整・大改造になりますね。
動画の作業工程はまずはトップジョイントの分割改造から始まります。これにより持ち運びが楽になり、ケースも小型化できます。
分割構造にするには構造が弱いために補強しています。ジョイント部分を削って新しく作り直し、内側も金属板を内径にフィットさせて補強しています。これだけでもすごい改造だしダイナミックで観ていて緊張しますね。
トップジョイントを固定するロックを新設、これはファゴットのテナー・ロングジョイントのロックに似ていますね。
これだけでも熟練された技術力が必要な大きな改造だし、これからどうなって行くかワクワクします
動画2
■Contrabassoon Transformation - Part 2!
動画2個目は作業工程の紹介が充実しています。主な内容は、
- 金属部を金メッキにする
- 木の美しさを見せる透明な塗装
やはり木部と金属の金メッキは色を似せるようにするんですね。
↓以下作業工程の流れ
・金属部分を徹底的に準備
へこみを直す、キーポストを外して金属を綺麗にする、超音波洗浄、機械研磨、管内の掃除
・木の再塗装
キーポストとトーンホールを覆って剥離剤から守る、依頼主は赤をnatural wood finishへと望んでいる、優しく剥がしていく、木を研磨、薄い層だけを除去、研磨は手作業になる部分も、むき出しの木になった、再塗装の準備完了
・金メッキを見てみよう
とても輝かしい…、そしてやはりパーツが多い楽器ですね。
キー、ポスト、トップジョイント、U字管、ボーカルなど。
ここでベルのロゴからメーニッヒと判明。
・木の塗装へ戻る
依頼主は木の美しさを見せるクリアな塗装を望んでいる、ニスを何日も塗る、自然な木目を際立たせる
このような内容で、今回は具体的な作業工程が沢山見られました。
金属部のメッキ直しや木部の塗装直しはファゴットでもなかなか見られないし、特にコントラファゴットではその機会はより少ないはずでとても貴重な映像です。
コントラファゴットの管が長くてパーツが多いために作業量も多そうですね。パーツをテーブルに並べた姿は圧巻です。
そしてとにかくすごい技術だ…と終始感嘆してしまいます。仕上がりは次の動画で紹介されています。
動画3
■Contrabassoon Transformation - Before and After!
3つ目の動画では仕上がりの紹介、ついに依頼主と御対面です。
コントラファゴットが金色に輝き、木部もナチュラルで美しい姿!とにかく美しいですね!見とれてしまいます。もっといろんな角度からじっくり見たいです。
背が高くて金属管も長いタイプのLowAでもあるし、この楽器がステージ上にあったらとても存在感があり注目を集めること間違いなしです。
新品のようによみがえりつつ、理想的な姿に変身したコントラファゴット。これは扱っていてとてもワクワクするでしょうね。
塗装やメッキによってどんな音になっているのかも気になります。いずれUPされて欲しいし、新しいケースも見てみたいです。
おわりに
「コントラファゴットの変身」、熟練された技術的工程や変身した美しい姿、とても見ごたえがある動画でした。
コントラファゴットをこれほどダイナミックに大改造するのは初めて観たしワクワクしました。何度見ても飽きません。
これほどの大改造、一体いくらかかるのでしょう・・・。お金に余裕のある方はぜひ同様の変身をさせて、じっくり見させて下さい(笑)。
※動画内の英語を自分なりに翻訳しており、細かい表現は厳密には異なるかもしれません。