【演奏会回顧】約10人のお客さんのために ~ 10年前の大雪の日の演奏会を振り返る
2/5から翌日にかけて、東京にとっては大雪と呼ばれるレベルの雪が降りました。雪と関連してちょうど10年前の演奏会を思い出したのでそのことについて書きます。
・10年前の演奏会当日
大雪の中で会場へ
今から10年前の2014年の2月、今回以上の大雪がありました。その当日はちょうど演奏会があり、とても印象に残った演奏会になりました。
朝から大雪が降っている状況で、楽器は雪対策でビニール袋に入れて持っていきました。行きはなんとか電車に乗れたものの徐々に交通はマヒしていき、やがてその路線もストップしてしまいました。
・楽器の雪対策
なんとか無事会場に到着できました。ロビーから見た外はこんな感じです(雪国の方には見慣れた光景かもしれませんが東京近辺では大ごとです)。
・会場周辺の様子
演奏会の会場は駅からすぐ近いのものの、演奏者やお客さんが来られるのか心配な状況の中で準備を進めました。
午前中のリハーサルに遅れながらも演奏者はなんとか揃いましたが、演奏会は中止にすることも含めて検討されました。
結果として、演奏会は開催されることになりました。
演奏会が開演
いざ開場してステージに入ると、広い客席にはお客さんが約10人ほどでした。まるでホール練習のような、静かで寂しい客席が目前にありました。
演奏者としてこのような状況の客席を見た事がありませんでした。ですが大雪という仕方ない状況なので当然であるし、何も特別な事なく普段の演奏会の通りしっかり演奏をしました。
そして曲が終わる度に、約10人のお客さんが積極的に大きな拍手をして下さいました。そんな温かい気持ちを感じられたからこそ、普段よりも心を込めた演奏ができた気がします。
そうしてお客さんと心が通じ合った演奏会は無事終演しました。とても印象に残り、思い出深い演奏会となりました。
演奏する事の意義
演奏会開催の判断の経緯は分かりませんが、考えてみればせっかく足がとても悪い状況で来ていただいたお客さんなので、もし中止になって帰してしまったら申し訳ないですし、帰るすべがないかもしれません。
どうせなら演奏を聴いて頂いて、大雪の事は忘れた時間を過ごして頂ければ嬉しいですよね。そんな時間を提供することができるのだし、開催した事は正解だったと思います。
もしお客さんが1人でも数人でも、多少残念な感情を持つとしても、通常通りの演奏をするのは当たり前のことだと思います。
そうは思っていても実際にそういう場に立ってみて、演奏することの意義を感じることができました。本当に貴重な良い経験だったと思います。
演奏会後
演奏会が終わっても大雪の影響は続き、駅の交通はまだ止まっていました。家族の車で雪の道を走り、普段よりも時間がかかりながらもなんとか帰ることができました。
・ホールから帰る時の様子
そして家の前で雪かきに追われました。少なくともここ15年間で雪かきをしたことは一度もなかったし、体力も使って疲れました。
色々と大変な一日でしたが、こういう日は記憶に残るもので10年経った今でも良く覚えています。演奏面でもとても良い経験が出来た日としてずっと忘れたくないです。