ファゴッティーノ - Fagottino(Octave Bassoon)
希少楽器ファゴッティーノについて書きます。
最終更新日:2025/01/23

ファゴッティーノとは?
「ファゴッティーノ」とは、小型ファゴットの総称です。少なくともファゴットより4度高いF管、5度高いG管、オクターヴ高いC管の3種類があります。F管はクイントファゴット、G管はクワルトファゴットとも呼ばれ、英語ではテナルーン(Tenoroon)と呼ばれます。
私が所有しているのはC管で全長がファゴットの半分の全長63cmと小型で可愛いファゴットです。重さはファゴットの10分の1の350gしかなくかなり軽いです。キー機構はバロックファゴットのようなシンプルなものになっています(近年モデルはより現代的な仕様に変わっています)。

C管の音色はファゴットよりも明るく軽快で、イングリッシュホルンよりも音の芯が太く、ファゴットらしく少し包まれたような質感の柔らかさがあります。スタッカートも「ポッ」という感じでファゴットらしさを感じさせます。
ボーカル径が一回り小さくなっており、ファゴットのリードは若干緩いので一回り小さいものを作るとスムーズです。小型のためかコントロールが難しい楽器で、正確な音程での演奏はとても難しいです。
小型ファゴットは本場ドイツでは子供用として普及しているようですが、日本国内では非常に希少な楽器です。確認できた範囲ではC管は2008年時点では国内で2本しかないようでしたが、近年取り扱い店が出来たためわずかに増えていると思います。

日本では情報が乏しいため詳しい情報は Wikipediaを参照(英語)↓
http://en.wikipedia.org/wiki/Tenoroon
音域と記譜
※実音の音域幅
C管ファゴッティーノの音域は実音表記で示すとヘ音記号第2線のB♭から、ト音記号第5間のFまでの2オクターヴ半です。但し、低いB(シ)は出すことができず、低いC#はハーフホール運指のため非常に不安定です(いずれも近年モデルは仕様変更により可能)。
音域を他の楽器と比べると、テナーサックスとアルトサックスの中間、オーボエのオクターヴ下(バスオーボエとほぼ同じ)で、テノールとアルトの中間ぐらいの楽器といえます。音域幅はファゴットより狭いです。
専用の譜面はほぼ無いと思いますが、記譜は実音に対してへ音記号でオクターヴ低く記譜することで、移調楽器のように運指と譜面がファゴットと統一できます。