Sarrusophone(サリュソフォーン)
ある時偶然にも希少楽器希少楽器Sarrusophone(サリュソフォーン)を吹く機会を得られました。その時の経験や調べたりしたことを元に書きます。
【2021/10/12】現在このページは内容の改善作業中です。
サリュソフォーンとは?
Sarrusophoneは19世紀中ごろに発明された金属管を持つ木管楽器の一属で、ダブルリードで演奏します。サリュソフォーン属は軍楽隊におけるオーボエ、バスーン(ファゴット)の代用を目的として開発されました。
ソプラニーノからコントラバス(Eb管とその下のC管、Bb管まで)までありましたが、現在では廃れてしまい、コントラバスサリュソフォーンのみが生き残っていてそれを単に「サリュソフォーン」と呼びます。
【参考】こちらに全種類のサリュソフォーンの写真が掲載されています↓
Pierre-Louis Gautrot’s Sarrusophone: A Maverick of the Woodwind Family Exhibition Opens Today at the Sousa Archives
サリュソフォーンはシュミット、ラヴェル、デュカスなど、20世紀前半頃のフランスの作曲家の曲に用いられるケースが多いです。音量が小さい等欠点があった当時のコントラファゴット(フランス式)の代わりに指定していました。現在ではそれらの曲を忠実に再現するためにごく稀に使用される程度であり、基本的にコントラファゴットで代用されるため、非常に希少な楽器です。
音はコントラファゴットに似ていますが、より大きな音量でパワフルでダイナミックな音が出ます。運指はサキソフォーンとよく似ていますがそれよりもシンプルな機構になっています。一般的にファゴット奏者が演奏するとされていますが、シングルリードマウスピースを取り付けてジャズ等でも使用されたケースがあるようです。
現在流通している楽器はアメリカのCONN製の古い楽器が多いように思いますが、イタリアのORSI(オルジー)製の楽器もあり、現在はドイツのエッペルスハイム社がサキソフォーンをベースとした仕様で新規製造しています。日本国内では非常に希少で、恐らく10本もないぐらいだと思います。
サリュソフォーンの写真
コントラファゴットとサリュソフォーンの「奏者側」。見た目の背の高さは同じぐらいです。サリュソフォーンは持ち上げて吹くのでボーカル位置が低いです。親指キーは左手に3つ、右手に1つ。こちら側はキーはほとんど見えません。
「客席側」 。こちら側にはキーがたくさん集中しています。金管楽器のようにまっすぐ開いた大きなベルが印象的です。
楽器上部 。チューバ等の金管低音楽器を細長くしたような独特のフォルム。
楽器下部。キー機構はサックスとほぼ同じでそれをシンプルにした感じです。キーを押すところの指間隔が狭いので間隔の慣れが必要です。ハンドレスト・サムレストみたいなのが付いててそこで楽器を支えます。
リード比較。左からサリュソフォーン、コントラファゴット、ファゴットのリード。振動面も大きく根元部分が結構長い印象です。
ボーカル比較。ぐるっと回った独特の形状で管が結構太いです。サキソフォーンのネックと同じように楽器本体側のネジを回して固定します。
トロンボーンをさらに細長くしたようなケースで、コントラファゴットのものより若干短く軽量でコンパクト。コントラファゴットのケースは激重なのに対し、これは持ち歩きも苦ではないです。
サリュソフォーンをケースに収納したところ。コントラファゴット同様にボーカルだけ外します。
サリュソフォーンの音色
コントラファゴットとサリュソフォーンの音を比較した動画を作りました。