ストラヴィンスキー「春の祭典」冒頭のファゴットソロの元になったリトアニア民謡

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ストラヴィンスキーの春の祭典といえば冒頭のファゴットのソロが有名です。音域が高くて演奏が難しく、複雑な変拍子であることも難易度を上げます。そんな旋律ですが、どうやらリトアニア民謡"Tu mano seserėle"(私の妹よ)が元になっているそうです。それを「ハルサイ」と同じ調にして演奏した動画があります。

■The Rite of Spring/Tu mano seserėle

確かにハルサイによく似ていますね…!良く聞くと3拍子の旋律で、ファゴットの高音域の苦しさのイメージを抜くと素朴な印象の旋律です。ハルサイのようでハルサイではない、なんだか不思議な感じで面白いですね。

この原曲を歌っている動画もありました。

■Tu mano seserėle

これを知った上でハルサイを聞くとまた印象が変わりますね。3拍子を難解なリズムと変拍子に変え、音色もイングリッシュホルン等素直な音域ではなく少し無理をさせてファゴットに変え、原曲を崩して別のものになっています。

それにより、不協和音、複雑な変拍子等の特異なオーケストレーションを持つこの曲の冒頭らしい、独特の緊張感が生まれています。土俗的な曲なのであえて民謡感を隠し入れたとか、「妹」が生贄に捧げられる乙女を指してファゴットで歌い狂っている表現という可能性もありますね。

P.S.ハルサイはいつか吹いてみたいですが1stはきついので、4th Bassoon&2nd Contrabassoon のパートが良いです。

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Written by みやだい

ファゴット一眼レフ風景写真が好きな「みやだい」です。コントラファゴットやファゴッティーノやバソンも所有、風景写真は定期的にテレビ等に提供しています。旅行、猫も好きです。真面目マイペース平和主義、前向きでいたい。
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記事へのコメント

\コメント(2件)/

[1] 二枚舌   2021/12/28(火) 00:48

ファゴット(初演時はもちろんバソン)のキツイ高音はd"ですね。
これを聴いたサン=サーンスが「こんな使い方はダメダ!」と言って途中退席したという有名な逸話は、実はフェイクニュースだという説もあります。
ところが、サン=サーンスはそれから8年後にバソン(ファゴット)ソナタの第2楽章の最後に、シレッと更に高いe"を使っています。そのあたりが、なかなか喰えないジイサンではあります。
またオーボエ・ソナタでは最高音g'''まで出させていますが、1910年にシュトラウスが「薔薇の騎士」で高いfis'''を初めて使った時も、フランスの楽器を吹く人がいたので可能だったという話もあります。
サン・サーンスのもう一つのソナタであるクラリネット・ソナタでは音域の冒険は一切せず、その代わりに、終楽章の最後に冒頭の静かな旋律を再現させて、涙を誘うといった遺言的な表現も、抜かり無く完備しています。
音楽史上最大の知能犯はサン=サーンス、
最大のカメレオン(美術ではピカソのように)として作風豹変を個性にまで高めたのがストラヴィンスキーという事でしょうか・・・・

 

[2] みやだい  2022/02/01(火) 11:20

>二枚舌さん
コメントありがとうございます。サン=サーンスの逸話は有名ですが事実か賛否あるようですね。ファゴットのソナタは大好きな曲で、本番で吹いたことがある友人もやはり2楽章の最後は苦労したようです。
オーボエやクラリネットのソナタも含め、時代背景や作曲経緯・初演当初の事を調べると面白そうですね。ファゴットに加えバソンも始めた身としてはその辺りも勉強しなきゃと思わされます。

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